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【過去】 ページ8

昔はどこにでもあるような「普通」の 家庭だった。そこそこお金もあって両親も優しく 仲の良い家庭だったと思う。でも、生まれた瞬間から「普通」だったわけではない。

母は女の子の子供が欲しかったようで幼い頃から「可愛い」を強要されてきた。可愛い髪型、 ふわふわの可愛い洋服を着せられ、女の子らしい習い事をさせられた。そこまでは良かった。実際、可愛いものは好きだし、母の趣味の服を着るのも楽しかった。父は良くも悪くも家族には無関心だったし、僕が可愛い服を着ても怒るような人でもなかった。

でも、ある日から母は変わった。
父が会社の課長職に昇進したころだろうか。元々、家に帰ってくることが少なかった父が更に帰ってこなくなった。そして母は僕にさらなる「可愛い」を求めるようになった。母は父への執着心が強かったから父が帰ってこないことが不安だったのだろう。僕に「可愛い」を強要することでその不安を緩和させるのはどうかと子供ながらに思っていた。

母は僕に「可愛い」を強要し、僕はそれに流されるままに従っていた。ただ、母の言うことを聞いておけば怒られない。ヒステリックに叫ぶ母の声が聞こえなくなるから。

僕が成長するにつれて母からの要求は強くなっていった。
一人称を「僕」から「私」にするように、「可愛い」から「綺麗」になるように。「可愛い子」だけじゃなく「綺麗でなんでもできる完璧な子」になるように。僕の意見は聞かれなくなった。

ただ「お母さんの言う通り」でいれば母は喜んでくれたし、その笑顔を見れば「私」は嬉しかった。だから「私」は母の言うことを「肯定」するようになった。

そんな生活を続けていくと「自分の意思」や「やりたい事」がなくなっていくような感じがした。

そんな「僕」と「私」の生活に色がついたのは突然だった。それは母と行った絵画展での出来事だった。絵画展には様々な絵画が飾られていたのだが、中でも特に目を引いた絵があった。なぜその絵に惹かれたのかはわからない。でも、そのときに思ったんだ。「こんな絵を描いてみたい」って。

絵を描くのは好きだし、実は前々から画家の世界には興味があった。だから、私は絵を描き始めた。自分が思ったままに筆を動かし、キャンバスに自分の世界を作り出す。絵画展で見た絵の描き方を思い出しながら、今度は自分のイメージをキャンバスにぶつける。そんな日々は私にとって充実していて、とても楽しかった。

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作者名:紫苑 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/bbb123/  
作成日時:2023年12月17日 13時

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