→ ページ9
目が覚めると、まるで駐車場のような、コンクリートが全面的に打ち付けられた空間にいた。常温なはずの風がとても心地よく感じる。
人形のようになっていた俺は、それが視界に入った時、今までずっとモノクロの世界が急に色鮮やかになったような感動を感じる。
出れたのか！？
あまりに見覚えのあるところだったので、ここは現実かと気分が高まる。
「うぅ......」
思わず声を出そうとするが、うめき声しか出せない。無理やり言語を喋ろうとすると苦しくなるのでやめておくことにした。
一気に沈んでいた意識がガンっと戻ってきたので半ばパニックになっていたが、深呼吸をするとだんだん落ち着いてくる。
あの体に染み付いたカビ臭い空気を入れ換え出来たからだろうか。
とりあえず、人がいるかもしれんないし、歩いてみるか。ここが現実かも分からないし......
少し立つのにも苦戦し、フラフラで歩くはめになる。それでも、歩かないよりはマシだ。
壁に取り付いている蛍光灯を頼りに、多少は安定してきた歩きで進んで行く。
黄色じゃないだけで、ここまで落ち着くものかと思っていると、なにか入っていそうなダンボールを見つける。
薄明かりに照らされたそれにゆっくりと歩いて近づいて、中身を確認しにいく。
これは、クレヨンと缶ジュース？缶詰めにあとは......ナイフ！？
手に持ってもギラリと睨み付けるように光るそれにびっくりしながら、後の物も確認する。
クレヨンは可愛くデコられたタバコの箱ぐらいの大きさをした箱に四色入っており、もう一色は折れていた。
缶ジュース？にはバニラ色で、白いバラの絵描かれている物がラッピングされている。白いバラの絵の上にはアーモンドウォーターと英語で表記されていた。
成分表を書いていないのが気になるが、中身はしっかり満杯に入っている。
缶詰めは賞味期限を過ぎているが、贅沢は言えない。
なんなんだこの箱......
どういう目的でここにあるのだろう？
ゴミ箱かなどと考えたところで、細かい事は気にしない方が良いと手を動かす。
バッグに詰め終え、その場を後にしようとしたその時。
後ろから聞き馴染みのある、声が聞こえた。
「アノ......Aさん、デスカ？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 9人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
魔裟斗(プロフ) - トめAと@カド松さん» 主人公君のスタミナと精神が削れていく...多分主人公君なら大丈夫ですよ！多分 (2022年11月20日 10時) (
レス) id: c664745501 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - う、運が致命的に悪い…level！からlevel fun:)は流石に同情しちゃう… (2022年11月20日 9時) (レス) @page32 id: 98a0a1531c (このIDを非表示/違反報告)
魔裟斗(プロフ) - トめAと@カド松さん» 面白いと言って頂きありがとうございます！励みになります！パイプドリームから無事抜け出せても、レベル6やらありますからねぇ...主人公がどんな結末を辿るか、楽しみにして下さい！ (2022年10月27日 6時) (レス) id: c664745501 (このIDを非表示/違反報告)
トめAと@カド松(プロフ) - レベル0の足音･･･レベル0ってたしか二人以上同時に会えない性質あったし多分エンティティだな･･･パイプドリームにはたどり着いたがはたして･･･ backroomsの作品少なくて、見に来てしまいました･･･！面白いです。頑張って下さい！ (2022年10月26日 21時) (レス) @page13 id: 8b7bdbc23e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魔裟斗#MEG日本支部 x他1人 | 作者ホームページ：なし
作成日時：2022年10月17日 21時
