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5限目の体育、アユンとまともに運動せずに体育館の端っこで駄べる。
「イドンヒョクってそんなに噂があるの？」
「知らないのアンタくらいじゃない？」
「しょうがないじゃん……興味なかったんだし」
「なーんも知らないエギに教えてあげる。コンゴンズはこの前教えたから知ってるでしょ？」
さっきも言ったけど、本人たちはいいの。わりと良い奴だし。ただ、厄介なのがファンクラブ。
過激なのが、イジェノとイドンヒョクね。この2人はバスケ部っていうのもあってすごく目立つし、出る杭は打たれるで、ファンクラブ内で抜け駆けしようものなら凄いよ。
「そ、そうなんだ……」
「ま、噂だけどね。でも目立つのは間違いないよ」
体育館のステージの下で、腰掛けて体育館全体を見渡す。体育館の半分は女子、残りは男子が使っている。
あ、イドンヒョクと目が合った。
「イドンヒョク、Aのこと見てるじゃん」
アユンがそういうのと同時に、「サボるなよ、エギ」って口パクで言われた。
「エギじゃない！」
「エギって呼ばれてるの？」
「呼ばれてないよ……」
「イドンヒョク、見る目あるじゃん」
「やめてよ」
「それより、Aとイドンヒョクの関係を教えてよ」
「教えるも何もただの友達だけど……」
「友達ってのは分かったって。教えろって言ってるのは馴れ初めよ」
いい加減授業に参加するか――とアユンと立ち上がって、距離をとる。バレーのトスとレシーブのラリーを始める。
「馴れ初めもなにも、昼寝してたらイドンヒョクがいきなり現れて、そこから話すようになっただけだよ」
「それだけ？」
「それだけですけど」
「ふーん」
「何？ だから言ってるじゃん、特別なんもないって」
「いや、充分あるよ」
ボンッとアユンがトスで返す。
「イドンヒョクっていつも来るもの拒まずだから、イドンヒョクからそういう風に行くのって初めて聞いた」
「は？」
アユンのトスをレシーブで受ける。
「だから、イドンヒョクがAにほの字何じゃないの？」
「は？ 何言って――」
アユンはそういうのと同時にスパイクの構えに入る。「やばい」と思った時には遅く、アユンのスパイクを顔面で受けてしまって、
「あー！Aごめん！！」
そういえばアユン、元バレー部のエースだったな。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
