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「やっぱいた！」
「イドンヒョク……」
――さっき、Aちゃんが歩いてるところ見えて、ここいるかなって思ったんだけど、やっぱ居た！ とにこにこしながら、当たり前のように隣に座るイドンヒョク。
「ん？ なんかあった？」
「あ、いや……。それよりどうしたの？ 部活は？」
「あ、そうそう。英語のさ、課題提出すんの忘れててさ、今日までなんだけど。Aちゃんいるなら第二でやろって思って」
「え、土曜試合なんでしょ？」
「だからやべぇの。先生言ったんだけど、聞いてもらえなかった。Aちゃん英語得意そうかなって思ったんだけど」
「……得意だけど」
「やりぃ！」
「……私さ、くまちゃんと一緒にいていいの？」
「は？ 何それ 別にいいだろ」
カバンから教材を取り出す手を止め、怪訝な顔をしたイドンヒョクと目が合う。
「……よかった」
「何？ Aちゃんって見かけによらずメンヘラってやつなの？」
「違うよ」
「じゃあ、なんだよ」
「ほら、イドンヒョクって『コンゴンズ』でしょ？」
「あー……それね。周りが勝手に言ってるだけだし、気にすんなよ。それに『コンゴンズ』っていうけど俺らの学年2000年生まれなんだから、みんなコンゴンズだってーの」
一目置かれるようになって、いつの間に2000生まれの下二桁だけとって『コンゴンズ』と呼ばれるようになった4人。
「だからAちゃんは一緒にいて安心するよ」
俺のことを、見た目だけとか、そういう好奇な目とか下心とか、ないというか……。――そう呟いたイドンヒョクは寂しそうだった。
「モテるのも悪くないけどね。ま、そういうことだからさ、教えて♡ 英語♡」
またきゅるんと可愛こぶるイドンヒョクに、椅子からずり落ちそうになる。
「……どうしよっかな」
「は？！ 完全に教えてくれる流れだったじゃん！」
「そうだった？」
「そうだったよ」
「うーん……タダで？」
「可愛くねー！ Aちゃんもこの手のタイプかよ」
「お？ いいんだよ？ 教えなくても私は困んないし」
「……学食のサンデーど？」
「さ、課題を見せてみな」
「やり口が山賊じゃん」
イドンヒョクと、一緒に居るのは楽しい。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
