SUMM3R SUN (ページ6)

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　放課後、部活に向かう途中でそれを目撃した。

「――好きです」

　ぼけっとしながら歩いていると聞こえたそれは、愛の告白で。第二図書室までの行き方を間違えたと後悔した。

　第二図書室は少し離れた所にあって、本校舎から渡り廊下から外に出ずに直接行ける方法と、一度校舎を出てから外をぐるっと回ってから行く方法と2パターンがある。
　放課後は、外からぐるっと回って行く方法がお気に入りなのだけど、如何せん人気がないから、道中にこうやって告白の場に選ばれる場所が多い。
　息を殺して、気づかれないように第二図書室を目指す。
　しかし嫌でも聞こえる告白続きは、相手からの返事がなくて静まり返っている。

(返事してやれよ)

　気になった私はチラッと覗いて、また後悔した。
　その場にいたのは、頬を赤く染めた隣のクラスの女の子とイドンヒョクだった。

　図書室の大きな机に、上半身を預ける。
　学校での居場所のひとつになってる第二図書室は、一応文芸部の部室でもある。人数が多いわけじゃない文芸部は、月に何度か集まる日があって、その日以外はわざわざ部室に来る必要はない。だから運動部と兼任してる人も何人かいる。

「書く気も、読む気にもなれないなあ」

　目を閉じると脳裏に浮かぶのはさっきの告白。何故かダメージを受けてる。

　――知らないの？コンゴンズ。

　それは衣替えの頃に、アユンに言われた。
　アユンに教えてもらうまで「コンゴンズ」を知らなかったのだ。流石に4人の名前は知っていたけど、その4人がコンゴンズと呼ばれて学年を超えてモテる存在までは知らなかった。
　その時は特別気にとめてなかったし、イドンヒョクと話すようになっても特別視することもなかった。
　それなのにさっきの告白で、自分とは違うことをまざまざと突きつけられた。

　――ガラガラガラッ

　誰か来た音がして、体を起こす。この時間に来るとしたら、部員ぐらいだけど誰だろうか？
　活動がゆるいこの部活は誰か来ることはほとんどない。

「Aちゃん、いる？」

　声の主は、イドンヒョクだった。