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それから一時間、ロンジュンとジェミンにポーズの指示されたり、赤ちゃん扱いされたりと、疲れてもういい加減帰りたいって思った頃に、やっとドンヒョクが美術室にやってきた。
もちろん同じ部活のイジェノを連れて。
「Aちゃん良い子にしてた〜？」
「お〜お疲れ、良い子だったよ」
「ぐずらないで大人しく待ててたよ。ね、Aちゃん♡」
まるで保育士になったかのようなふたりと、保護者のドンヒョク。保育園のお迎えみたいな会話。
「君たちバカにしてるのかな……？」
「わあ、すっかり君たち仲良くなってる。いいなあ」
突っ込むどころか羨ましがるイジェノに、ツッコむのも馬鹿馬鹿しくなる。
「……ねえ、ドンヒョク帰ろ」
「ん？ おお、悪い悪い」
「じゃあねAちゃん」
「気をつけて帰れよ」
「ばっばい〜」
じゃーなーと教室を出るドンヒョクの後に続く。
一日を通して思ったけど……喧嘩する前よりドンヒョクが甘い気がする。喧嘩して口を聞かなかった反動なのかわかんないけど甘い。
今朝は駅で待ち合わせて学校に行ったし、昼休みの昼寝の時もいたし、放課後はこれ。
悪い気はしない、ドンヒョクと一緒にいると楽しいし。でもどういうつもりなんだろう。
「そういえば、そのゴムずっと付けてるね」
練習試合の時にあげたオレンジのヘアゴム。
喧嘩中も、今も手首にしっかり付けていた。
「おう、お守りだから」
「お守りって……そんな大層なもんじゃないよ？」
「いーの。実際これのお陰で試合に勝てたし、お守りだよ」
ドンヒョクは嬉しそうにヘアゴムを揺らした。
「……そっか」
照れちゃって、声が上ずる。
「あれ〜？ もしかしてAちゃん照れてる？」
「照れてない！」
嘘、照れてる。
「あー……でもAちゃんの元々ヘアゴム使ってたよね……」
「いいよ、そんな気にしないで」
「いや、気にする。今度新しいの買うよ」
「……いいの？」
「おう、俺がAちゃんに似合うやつ選んであげる」
「ありがとう……嬉しい……」
「ん、良い子」
続く (更新停止中)
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
