SUMM3R SUN (ページ25)

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「クォンAさんいる？」

　残すところ翌日の終業式だけとなった日の放課後、珍しい人に呼び出された。

「ファンロンジュンじゃん、どうしたの？」
「ちょっと手伝って欲しくて」
「うん？いいよなんの手伝い？」
「デッサンのモデル」
「ほほ〜う」
「なんだよそれ」
「緊張するなって思って」

　静かな廊下をふたりで歩く。静かな時間。

「一度Aさん描いてみたくて」
「ふーん」

　変なのって思ったけど、人それぞれの感性だから言葉を飲み込んだ。
　美術室に着いて、椅子に腰掛ける。

「何ポーズか描きたいから……」
「はあい」

　準備が終わると、直ぐに鉛筆を紙に走らせる音が聞こえて、また静かな時間が流れる。
　そういえばファンロンジュンとふたりで話すの初めてかもなんて思うと向こうも同じこと思っていたみたいで。

「俺たち初めてちゃんと話すね」

　ファンロンジュンが走らす鉛筆のことが心地よくて、ちょっとだけ眠くなる。

「そうだね〜」
「Aさんがドンヒョクと仲直りしてくれて良かったよ」
「そうなの？」
「うん、仲直りするまで酷かったからあいつ」
「そうなんだ……でも、もうドンヒョクと喧嘩しないと思うよ」
「そっか」
「うん」