23 ページ23
.
「仲直りしなきゃ……」
言い合いになってから、実はイドンヒョクに避けられてるからどうしたらいいのか分からない。
今まで何もしなかったわけじゃない。話しかけようにもふらっとどっか行ってしまうし、逃げられないように名前を呼んでもわざとらしくどっか行ってしまう。
「こんなんでどうしろと？」
正直もう怒ってないし、拗ねてもない。こんな風に喧嘩をこじらせたことないからもうお手上げだ。
「あんな風にされたら、話しかけたくなくなるよ……」
机に突っ伏す。すると頭上から「あいご〜♡ 困ってるねAちゃん」なんて声がした。この砂糖菓子のように甘い口調と声はナジェミンだ。
「ナジェミン……」
「『ナナ』でしょ♡」
「何しに来たの？」
声で誰だわかったから頭は突っ伏したまま会話を続ける。
「エギが、うちのイドンヒョクと仲直り出来てないから様子見に来た♡」
「そおですか」
赤ちゃんってなんだ、赤ちゃんって。
「仲直りしないの？」
「したいよ〜」
「じゃあしなよ」
「どうやって？」
依然、頭を机に貼り付けたままナジェミンとの会話を続ける。
「話しかけたくても逃げられるのに？」
「捕まえればいいじゃん」
「……避けられてショックなの」
「ショックなんだ〜」
「そ、ショック。ただでさえ喋らなくなって寂しいのに……」
何度か逃げられたりして、話しかけるのが怖くなった。
「次、逃げられたらもう心が持たないかも……」
少し涙声になる。
「……？ ジェミン？」
さっきまで、ナジェミンの「うんうん」とか「あいご〜」なんて声がしたのに急に静かになった。
「わ、ちょっと、ナジェミン？」
と思ったら、急に頭を撫でられる。しかもちょっと荒い。
「ジェミン、ちょっとやめて」
やめるように言っても、止まる気配がない。
おでこが、机に押し付けられてちょっと痛い。
「ナナ！」
三回目で、ようやく止まった。
「……ごめん」
けど声の主はナジェミンではなくて。
勢いよく顔を上げると泣きそうなイドンヒョクがいた。
「あ……」
「Aちゃん、ごめん」
「……寂しかったんだけど」
「……俺も」
「『俺も』って……避けたのそっちじゃん……」
ふたりして泣きそうで、ちょっとぐずぐす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 949人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
