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「ウケる！ なんでそんなことで喧嘩したんだ」
「イドンヒョク彼氏かよ〜」
「どうすんの？ お化け喫茶のシフトアイツと一緒でしょ？」
「……私悪くないし」
喧嘩した次の日の放課後、教室で残って勉強していたらいつの間にかクラスの子と井戸端会議が始まって、話題は私とイドンヒョクの喧嘩について。
「悪くないけど、悪いよね」
「悪い女だね」
クラスメイトの子達にそう言われてバツが悪くなる。
そんなに悪いかな……私が着たいものだよ？
「イドンヒョクも可哀想」
「なんでよ、腑に落ちない」
「そこはさ、イドンヒョクがその衣装を着て欲しくない理由を汲んでやんなよ」
「その理由がわかんないんだって」
「マジで言ってんの？」
助けてとアユンを見る。
「ま、アユンはなんでもいいけど、今回の目玉キャストはAとイドンヒョクだから早く仲直りしてってカンジ」
ふたりには客寄せしてもらう予定だし！ と続けるアユン。……アンタ文化祭やる気なかったんじゃないの？
早く仲直りしないと思っていたのが、気づくと一週間も話さないようになっていた。あんなに一緒に居たのが嘘みたい。
それでも私以外は勉強会はしてるみたいで安心した。
一方私は、第二図書室にこもってひとりで勉強。
ひとりでいることは苦じゃないけど、イドンヒョクがいないと寂しいと思えるくらいに、彼がそばに居ることが当たり前になってたんだなと気付く。
「喧嘩の理由……大したことないのに、こんな大事になるとは……」
手を止めて、ため息をつく。勉強はしてるけどイマイチ捗らない。
「はあ……」
「大きなため息だね」
急に声がして、振り向くとそこにはイジェノがいた。
「ジェノ……」
「勉強捗ってる？」
ニコって笑って、私の正面に座る。
「捗ってるように見える？」
「んー……あんまり？ こっちにも全然捗ってなくて赤点回避出来なさそうな子がいるよ」
「……」
イドンヒョクのことを言ってるのはわかる。
イジェノを睨むが、睨まれても表情を変えずニコニコしているイジェノ。
「文化祭なんてあっという間にくるよ？」
「わかってるよー……」
「あいつね、器用そうで不器用なんだ」
私が折れろということか。
「だって私悪くないよ」
「悪くないね」
「もー……どうしろと？」
「ふふ、どうしようね」
ずっとこんな感じで。
イジェノと話してると、暖簾を押してるみたい。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
