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「あ、そうだ。ドラキュラの衣装の候補貰ってたんだ」
「え、見して見して」
イドンヒョクと対でドラキュラをやることになってるから双子コーデになるように衣装係から候補をいくつか貰ってたんだった。
「お前らのクラスお化け屋敷やんの？」
「んいや、お化け喫茶」
「は？」
「わかる、『は？』だよね」
「え、これ可愛い。Aこれにしなよ」
前に座るアユンが指差すのは、スカート丈が少し短めの衣装。
「これ可愛いよね！ ……でもスカート短くない？」
「でもせっかくの文化祭だし良いじゃん」
「そうだよね〜……。ファンロンジュンはどう思う？」
他の人の意見も訊きたくて、衣装の写真を見せる。
「どれ？ あー……俺はいいと思うけど……」
「けど？」
「ヘチャンがうるさそう」
「え、なんで？」
「まあ、戻ってきたら訊いてみろよ」
なんでうるさくなるのかが分からなくて、言われた通り戻ってきた彼に衣装の一覧を見せる。
「ね、イドンヒョク、ドラキュラの衣装候補貰ったんだけど、これ可愛くない？」
「ん？ どれ？ お、いいじゃん」
「だよね、これにしようかな」
怒るどころか賛同してるし、どういうこと？ と目線をファンロンジュンに向ければ「まあ、見てろ」と顎で差す。
「いや、待て」
「どうしたの？」
「スカート短すぎねえ？」
「え、まあ、そうだね」
この辺りで、ファンロンジュンは笑いすぎで肩を震わせてる。その様子を見て、状況を把握したイジェノとナジェミンまで笑い始めてる。
「だめだ、これ以外にしろ」
「は？ なんで？」
「スカート短いからだよ」
「別に良くない？」
「だめだって」
思った以上に怒るイドンヒョクに、否定されるのが訳分からなくて。
それで、普通に、なんか、喧嘩になった。
当然、勉強会はお開きで、コンゴンズとアユンは爆笑。
イドンヒョクとは最寄りまで一緒だから、ふたりとも一言も交わさないままムスッとした顔で、一緒に帰った。
「じゃあね」
「は？ どっか寄るの」
最寄り駅に着いて、気まずいから別れを告ればさらにムスッとするイドンヒョク。
「ないけど」
「じゃあ、なんでここでバイバイなんだよ」
「……なんとなく」
気まずいからとは言えず。
すると、「家まで送る」とムスッとしたまま私の手を引いて歩き出すイドンヒョク。
結局お互い不機嫌なのに、家の前まで送ってもらった。
ほんと意味わかんない。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
