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試合当日。会場についてアユンと驚いた。
アイドルなの？ ってくらいの声援と応援グッズ。うちわとかで弾幕とかがすごい。ドンヒョクとか、ジェノとか、ふたりのスローガンだらけで、コンゴンズの凄さをまた改めて実感した。
「なんか……すごいね」
「だから言ってんじゃん、ふたりのファンはヤバいって」
「なるほどね……」
圧倒されて笑いがこぼれる。
黄色い声援がそれはもうすごくて、少しだけ相手チームに同情した。
バスケなんか興味なかったのに、試合が始まると意外と面白くて、前のめりになって試合を魅入る。
試合中、ドンヒョクと目が合って、手を振ってきた。
私も手を振り返すと、イドンヒョクの満面の笑みを食った。
その瞬間一気に周りの視線を浴びる。
「ひゅ〜、アンタ今イドンヒョクの女だよ」
「やめてよ……」
「俗に言う『後方彼女ヅラ』じゃん」
「まわりの視線が痛いからマジでやめて」
……周りからの突き刺さるような視線がとても気まずい。
「あ、いた！」
前半戦が終わって、そのまま観客席で軽食を食べていたらイドンヒョクが来てくれた。
「今日、来てくれてありがとう」
「うん」
嬉しそうな彼の笑顔が眩しい。
「体調大丈夫？」
「心配しすぎ。もう大丈夫だよ」
バスケのユニホーム姿のイドンヒョクは初めてで、なんかやりづらい。
「な、勝てるように応援してよ」
「してるよ？」
「そうなんだけど……。あ、そのゴムもらってもいい？」
私の手首のヘアゴムを指さす。それはいつも持ち歩いてるオレンジ色で少しラメが混ざったヘアゴム。
「これ？ いいけど……はいっ」
「あー違う違う。いい？ 今から俺の言う通りにして」
「うん？」
「はい、握って……そうそう。で『私のドンヒョクが勝てますように』って祈って、俺に渡して」
「『私のドンヒョク』って何？」
「ほら早く、俺時間ないんだって」
私のという言葉が引っ掛かって言えずにいると「早く！」と急かしてくるイドンヒョク。
「……私の……ドンヒョクが勝てますように……はい、これでいい？」
「ありがとう、絶対勝つ」
言ってることはめちゃくちゃな上に、真剣な顔でお礼を言われて不覚にもドキッとした。
「じゃあ、俺行くわ」
「うん、頑張って」
後半戦、イドンヒョクは渡したヘアゴムで前髪をくくってりんごヘアーにして試合に出ていた。
おまじないが効いたのか、試合は勝利してた。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
