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6月なって、学校中が重苦しい冬服から夏服の爽やかな光景に変わった。
きちんとＹシャツやポロシャツを着こなしている子もいれば、中に鮮やかなＴシャツを仕込んで、Ｙシャツを羽織っている子もいる。
ちなみに私は半袖のシャツが好きじゃないから、長袖を折って着ている。
「イドンヒョクが、シャツ出しして中にＴシャツ着てるのぽいわ」
昼休み賑わう食堂の中、目立つ集団――コンゴンズの中にいるイドンヒョクを見ながら親友のアユンが呟く。
「んーまあ、確かに」
みんなの夏服姿を勝手にファッションチェックしているアユンの講評を黙って聞いてる。
「イジェノのあの見た目でシャツをピシって着てるのはポイント高いよ」
「なんのポイントよ」
「かと言ってナジェミンのあの着こなしも外せないし……ああ！ どうしよう、悩む」
「なにを勝手に盛りあがって悩んでんだが」
すると、ぐるんとこちらを向くアユン。少し私を睨んでる気がする。
「クォンA！ アンタ可愛いんだからさ、それやめなさいよ」
ビッと箸で指した先にあるのは、首元から胸ポケットを繋ぐようにだらりと垂れたネクタイ。
「オッサンじゃあるまいし、食べる時ネクタイを胸ポケに入れるのやめてよ」
「いいじゃん、汚れないし」
「もう、コンゴンズを見習って」
今度は箸でコンゴンズを指す。それが聞こえたのか、一瞬イドンヒョクの目が合う。
「なんでコンゴンズなのさ」
「キラキラ集団だから？」
「安直すぎ」
しばらく目が合ってたけど気まずくてすぐに視線を逸らした。
「スカート2回折るで妥協してんだからいいじゃんもう……」
幼なじみのアユンは昔から私の制服の着こなしにうるさくて、高校に上がった今もそれは変わらなかった。
特に制服の着こなしにこだわりがある訳じゃないけどあまりにもうるさいから反抗心が湧いて、スカートを2回折るで妥協中。
「って、Aどこ行くの？！」
「図書室」
「置いて行かないでよ！」
「食べる事に集中してないからでしょ、じゃあね」
ご飯食べたあとは図書室に行くのが日課だけど、今日はチラチラとイドンヒョクに見られてる気がして、それから逃げるように食堂を後にした。
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作者名：砂糖と塩 | 作成日時：2023年5月18日 8時
