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第21幕 ページ24

「Aちゃんお母さんが心配で来ちゃったのねぇ〜」


見知った様子の看護師さんがやってきて、彼女を預かってくれた。


「暫くは私がロビーで一緒にいますわ。お二人とも、高校生でちっちゃいこを守ってくれたなんて格好いいわねぇ。この子のお母様にもお伝えしておくわ」


「いえいえ、大したことではありません」


「おにいさん、ありがと!」


可愛い笑顔の女の子に手を振りながら、病院を後にした。


良いことをした後はやっぱり気持ちがいいや。



ってそうじゃなかった!


「常磐田く…あれ?」


もう居なくなってしまった。さっきの間に先に帰ってしまったのか。



「っと…失礼」


「あ、いえ」


急いだ様子で迫ってきた眼鏡の男性と肩を掠めて互いに謝りあった。


俺も帰ろう…というか、すっかり暗くなっている。



また長い信号の前で待っていると、電話が鳴り出した。



耳に当てると、あのはっきりとした明るい声が飛び出してすぐ遠ざけてしまった。



「おい旭!いつまで外にいんだよ!」


「すみません…迷子を送り届けていたらこんな時間に…」


「お?そうなのか。ならしゃーない」



大分寛容だな…


「夜飯あるし早く帰ってこいよ!」


「はい、ありがとうございます」


流石にまた歩いてはいきたくないので、電車に乗っていこう。


でも…こんなところまで来たということは、常磐田君は寮には入っていないのか。



話せるかタイミングは休み時間と稽古と放課後か


なんとか心を開いてくれないかな…

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作者名:和澄紫郎 | 作成日時:2020年1月24日 13時

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