10 ページ10
『、、、っはあっっ』
息付く暇もなく、突如心臓がどくんっと物理的に跳ね上がった。
その直後、ドンッっと後ろから思い切り殴られたような衝撃を受けた。臓器が飛び出そうなほどの衝撃を。その衝撃で真っ黒な世界に片足を突っ込んでいた私は引きずりあげられるように、強制的に意識を取り戻された。
そんな私の見開かれた両目が見慣れない真っピンクの壁を映した。
シーツを掴んで起き上がると、見慣れない可愛らしい家具がずらりと並んでいるのが確認出てきた。
どこ、ここ。と私は周囲を見回す。
いや、そんなことよりも、全身が痛い。すごく痛い。
頭部が、腹部が、中心が燃えるように熱い。
痛い。
この痛みは魔力爆発の余韻なの?
毒じゃあるまいし。
苦しさを紛らわす為に視線を下ろすと
真っ白で、綺麗な両手が見えた。
その手はぶるぶると震えている。
え、
手?
何で
いや
何だこれは。
視線をさらに動かし、私は愕然とする。
そんな
なんで?
馬鹿な。
数百年前に失ったはずの体がある?
だが、そこで私の思考は中断される。
どくどくと身体中を血が高速で流れるような、奇妙な感じに襲われたからだ。私は痛みに対応するように体をうならせた。
大丈夫、大丈夫。
落ち着いて
落ち着け
自然に目から零れる涙を拭う余裕はなく、
耳にはっきり聞こえる心臓の音や、
ぽこぽこと湧き上がる魔力の音を聞きながら
私はこの痛みに耐える。
何なの、これは。
なんなのよ
その時、
控えめに扉を叩く音が聞こえた。
「A様?」
落ち着くような深い声。
その声が、私の名前を呼んでいる。
しかし私は返事ができない。
「A様?何か御座いましたか?
、、、すみません、失礼しますね」
何かを察したのか、声の主が断りなく扉のノブに手をかけ、思いっ切り押しあけた。
同時に涼しい風が私の体をすり抜けていく。
そこで私は声の主の顔をみた。
跳ね上がった癖のある黒髪。
優しそうな瞳。
その人は鎧を身につけていて、
キリッとしたいで立ちは威厳をも感じさせた。
私はその男に見覚えがあった。
私を見て男は顔色を悪くさせる。
それは一瞬の出来事だった。
かはっ、と突然自分の口から何かが吐き出された。血だった。それは、柔らかで清潔なシーツをゆっくりと真っ赤にそめあげていった。
「A様ッッ!?」
内からぽこぽこと込み上げてくる得体の知れない恐怖。それに気圧され、起きる過呼吸。
シーツを鷲頭掴んで荒く呼吸をしていたら、ふと傍にあったくまのぬいぐるみと目が合った。
あぁ、
そこで私は意識を失った。
214人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葛湯(プロフ) - エレンさん» エレンさん、コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!頑張ります! (2021年9月15日 9時) (レス) id: 05825be203 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - とてもとてもおもしろいです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2021年9月14日 21時) (レス) id: 3565c3ac01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葛湯 | 作成日時:2021年9月12日 22時