検索窓
今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:20,470 hit

5 ページ5

そうおっしゃるお父様の真剣な表情に私は背筋が伸びる思いがした。


「どんな手段を使ってでも解決しなければならない。何か案はあるか。」
『はい。魔力持ちの囚人の魔力を摂取するのはどうでしょうか。』

予め用意していた考えを述べる。
とても誇らしい気分だった。

「囚人を早急に処刑するのは勿体ないとは思っていたが、成程。そう活用する方法もあるな。だが、それでも国を支えるには微量だ」


「そこで王女が出てくる」



伏せた目を上げると、周りの視線が私に集まっていた。

『私、ですか』
「あぁ。王女の魔力は誰よりも多い。王女がこの国に身を捧げてくれれば、少なくとも100年は安泰だ」

ぞわり、と寒気が私の体を駆け抜けた。
何を言われているのか一瞬理解出来ず、しかしその意味を悟った途端体の温度が急激に下がった。


「王女は、国の為ならば身も心臓も捧げてくれると言っていたはずだが、それは嘘なのか?」
『、、っ』
「会議での発言は責任を伴う。もしあの言葉が嘘であれば、王女はどう責任を取る?」
『っ、、どうして、』


その続きは出なかった。
お父様は視線を私から扉の方へと移したからだ。

そこで私は扉から4人の気配を感じとった。
そのうち3人は騎士であろう、それでは残りの1人は。



「入室を許可する」



突然お父様がそう言った。
何かが始まる。ひしひしとそういう空気を感じた。そしてそれはきっと私にとって良くないことなのだろう。

開かれた扉の隙間から光が差し込み、重々しく踏み込まれた足はそのまま止まることなく私達の方へと近づいてきた。
さらに視線をあげれば、私と同じ紫色の瞳と目が合う。

「ジョングク」

私よりも早く
お父様が彼の名前を口に出した。

「国王陛下にご挨拶申し上げます」

そう言うとジョングクは軽く敬礼をした。
反動で零れ落ちる王族の象徴である金色の髪。顔を上げた際に見えるお母様と同じ紫色の瞳。
同じ母の血が流れている姉弟。私の唯一の弟。
それがチョン・ジョングクだった。

しかし彼は実の姉の前だと言うのに笑みひとつ浮かべず、無表情を貫いたままで。
私も何を言えば良いのかわからず、成り行きに任せるしかほかなかった。



「今日はひとつ君達に報告したい事がある。察しの通り、我が息子に関することだ」

沈黙をきったのはお父様だった。
皆の視線を受けてもなお、ジョングクは微動だにしない。



皆がお父様の言葉を待っている。
私も一言も聞き逃すまいと息を止めて待った。

6→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
214人がお気に入り
設定タグ:BTS , 防弾少年団 , kpop   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

葛湯(プロフ) - エレンさん» エレンさん、コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!頑張ります! (2021年9月15日 9時) (レス) id: 05825be203 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - とてもとてもおもしろいです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2021年9月14日 21時) (レス) id: 3565c3ac01 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:葛湯 | 作成日時:2021年9月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。