3 ページ3
知らなかった。私は知らなかったんだ。
2人が想いあっていただなんて。
そんなの知らなかった。
それでも、少なくとも、
ジミンの婚約者は私だ。
ソユンでも他の女でもない、この私だ。
それにしても、
初めて見る口付けだった。
唇をかする口付けではなく、舌を入れた深いものだった。
いつもなら義母の話を適当に流すことが出来たが、今日は義母の一言一言が心の柔らかい部分に刺さって、とても苦しかった。
裏切られた事が、精神にかなりの打撃を与えたようだ。取り乱して発狂出来ればどれほど楽だったのだろう。
しかし、その後は書類整理に追われ、休む暇も心の整理をする暇もなくあっという間にひと月が経った。
言われてみれば、という出来事も多々とあったな。と、私は今までのジミンとの思い出を振り返る。
あのような柔らかなくしゃっとした笑みではなく、張り詰めた仮面のような笑みしか向けられなかったと思う。
会うのも義務ずけらたひと月に１回だけだったし、
誕生日プレゼントは毎年同じくまのぬいぐるみだったし、
何より｢愛している｣と言われたことがなかった。
結構良好な関係を築いてきたと思っていたがそれが私の勘違いだったなんて。
きっと私が知らない間に何度も逢い引きを重ねていたのだろう。
ジミンは私が知らないところで
私に今までしなかったあれこれを
義妹のソユンと
沢山していたのだろう。
お似合いだわ、という侍女の言葉を思い出す。
確かに、お似合いだった。
太陽の光を浴びてきらきらと輝く金色の髪。
何かが待ちきれないような、そんな期待の色を浮かべた青色の瞳。
義妹のソユンは全国民が認める美女だ。
美男子で有名なジミンと並べば、本当におとぎ話に出てくる王子様とお姫様のようだった。
口付けさえも2人がすれば神聖な儀式のように思われる。
その事実がひどく私を傷つけた。
最初からジミンの婚約者は私ではなくソユンだったのではないかと錯覚してしまう。
少なくともあの場では私は悪者だった。
その理由がこの髪色の所為だという事が悔しかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 214人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
葛湯(プロフ) - エレンさん» エレンさん、コメントありがとうございます！とっても嬉しいです!頑張ります！ (2021年9月15日 9時) (
レス) id: 05825be203 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - とてもとてもおもしろいです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2021年9月14日 21時) (レス) id: 3565c3ac01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：葛湯 | 作成日時：2021年9月12日 22時
