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俺が騎士になったのは、誰かを守りたいだとか、出世したいからだとか、騎士に憧れていたからという理由ではなくて、ただ剣を握るのが好きだったからだった。そんな理由で俺は騎士を目指し、最年少で騎士団長にまで上り詰めた。18歳の頃だった。



敵なしの怪物団長と影で囁かれていた俺は、別に最初から怪物級に強かった訳ではなかった。むしろその逆だった。幼少期の頃の俺はいじめられっ子だったのだから。

いつもめそめそしていて、自分の意見を言わず周りの意見に流されるタイプで、蹴られ殴られても声一つあげず、黙って耐えているような子だった。
極めつけは、俺の父親が平民の出だった事だ。
この国の貴族達は平民を嫌う傾向があったから、俺が疎まれるのも仕方がない事だった。

そんな俺の唯一の癒やしは剣だった。
剣を握れば、自分に自信が持て、無敵になったような気がした。



そんな俺が噂の王女様と出会ったのは、俺が15歳、王女様がは9歳の頃だった。
その頃の俺は実力を認められ彼女の母親、王妃様の護衛騎士を務めていた。
いや、違うな。
今思えば実力を認められていたからではなく、実力がなさそうだからとあえて俺を選んだのではないかと思う。国が王妃様の身を心配して、騎士を選ぶはずがない。
それ程、周りの王妃様への風当たりは強く、一国の王妃とは思えない雑な扱いを受けていた。
聞かなくても分かる。
国は王妃様の死を願っていた。


なぜなら、王妃様は裏切り者だから。
国王陛下を誑かして、
その心を弄んだ、悪女だから。
彼女は歴代最悪の王妃で、
その娘もまた同様である。と。



でも俺は知っている
王妃様は、とても芯の強い方だってことを。
そして誰よりも優秀だってことを。
そんな母親の異才を受け継いだ、王女様もとても優秀だってことを。



『貴方だけですわ。母を大切にしてくれるのは』



第一王女様は噂とは程遠いような御方だった。
清らかで繊細。指先でつついただけで崩れ落ちそうな、どこか危なっかしいような人だった。
そう言えば、王女様はえぇ?と困ったように笑った。


『人並みに剣を扱うことが出来るから、心配には及ばないわ』
「9歳の女の子が言うような言葉じゃないよそれ」



王女様は生まれた瞬間から特別だった。
彼女は常に普通とは程遠い世界に居た。
俺が想像できないような壮絶で残酷な世界に。

彼女が普通の型に当てはまらないのは
周囲がそうさせてくれないから。



だから味方である俺があのお二人を普通から守ってあげなければならなかった。ならなかったのに。


過去編
ある騎士のお話

13→←11



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設定タグ:BTS , 防弾少年団 , kpop   
作品ジャンル:恋愛
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葛湯(プロフ) - エレンさん» エレンさん、コメントありがとうございます!とっても嬉しいです!頑張ります! (2021年9月15日 9時) (レス) id: 05825be203 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - とてもとてもおもしろいです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (2021年9月14日 21時) (レス) id: 3565c3ac01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:葛湯 | 作成日時:2021年9月12日 22時

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