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田辺side
「・・・それでは、オリンピック代表選手の発表に移ります」
アナウンスがかかり、歓声がより大きくなる。
「だぁ〜!ヤバい〜!!」
声をあげるとそこにいた全員が私を見た。
「A、うるさいよ」
「だってオリンピックだよ!?
あーまだ信じられないっ」
そう、私はオリンピック代表に内定した。
FPは後半の3回転アクセルで手をついてしまったが、159.1と文句無しの自己ベストで全体1位という成績。
刑事は呆れたようにため息。
「雰囲気崩れるからやめて。
幼さ丸出しだよ?」
刑事はFPで4回転サルコー2本目にミスはあったが、175.81のベストで第2位。
同じく代表に内定した。
ムッとして黙っていると、花織ちゃんが笑った。
「刑事くん、Aの世話大変だね、でも一緒に行けて良かったんじゃない?」
「・・・うん。良かった」
刑事が私を見て笑う。
──良かった
私だって同じだよ。
そういう意味を込めて笑い返すとスタッフから合図がかかった。
「田辺Aさん、16歳ながら3回転アクセルを決める新エースです」
リンクに飛び出すとたくさんの歓声が私をつつんだ。
その後1人1人が挨拶を始める。
私の番がきてマイクを握ると急に思いが込み上げてきた。
「・・・あの、まだ信じられないんですけど・・・
小さい頃から夢見てきたオリンピックという舞台に自分が立てることはすごく嬉しいです。
でも、嬉しさと同じくらい緊張もあって、メダルとれるかな、とかいろいろ思うことはあるんですけど・・・なにが今の自分に大切かっていうと、1番はノーミスってことだと思うので本番では今回出来なかったノーミスをしたいと思います。」
最後の方は少し涙目になってしまった。
その後全員が挨拶をして、控え室に戻ろうと廊下を歩いていたその時。
突然、腕を強く惹かれた。
「・・・昌磨くん?」
人目につかないロッカーの影まで私をひっぱり、昌磨くんは私を見つめた。
「SPもFPも自己ベストだったんだけど」
少しムスッとしたように言う昌磨くん。
ごめん、その話忘れてた・・・
「・・・A、約束通り敬語も君付けも無し」
「ちょっと待って下さい、昌磨くん」
「約束でしょ?」
1歩近づいた昌磨くんに下がろうとすると背中にロッカーがあたる。
「ほら、昌磨って」
「どうしたんですか?昌磨くん・・・?」
少し怖くてそう言うと、昌磨くんはため息をついた。
「なんも気づかないの?」
聞き返そうとしたが私の唇は温かい何かに塞がれた
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なべ(プロフ) - 架音さん» 返信遅くなりました、すみません。いつもありがとうございます!!昌磨くんオチですね参考に致します。そろそろ完結させようと思っておりますので最後までよろしくお願いします!! (2019年12月18日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
架音 - こんばんは!楽しく読ませていただいております!ぜひ、昌磨くんオチお願いします! (2019年12月17日 21時) (レス) id: e40e7f28e3 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - ありがとうございます!!田中刑事さん好きなんですね、参考に致します。これからもよろしくお願いします!! (2019年4月16日 21時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - 田中刑事さんがいいです!!! (2019年4月16日 20時) (レス) id: 145a60b08f (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 櫻宮みゆさん、読み返すだなんてホントに光栄です!確かに田中刑事さんオチは少ないですよね。参考に致します。これからもよろしくお願いします! (2019年4月15日 19時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なべ | 作成日時:2019年3月25日 18時