UNLEASHED

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田辺side

──3回転アクセルを武器に田辺A選手が金メダルを獲得しました

「･･･うっわぁー」

テレビに映っているのは演技直後に泣き崩れた私。

言い変えれば顔面崩壊中の私だ。

ザギトワを抑え優勝したあとは記者会見やなんやでバタバタし、エキシビションが終わって帰国してもまた会見。

やっと休みが貰えた今日。

「なんで金メダリストがもうリンクにいんの？」

刑事がリンクのテレビを見つめる私に声をかけた。

「刑事だって、休んでいんでしょ？」

「いや、ちょっと4回転サルコー跳びに」

まぁお互いスケートバカということだ。

実際、私も3回転アクセルを跳びにきたのだから

「世界選手権、ゆづ出ないんだっけ？」

「そう、だから代打一希」

ゆづは平昌オリンピックに出場した影響で足の痛みがぶり返したらしい。

「一希かぁ、久々だね」

「うん」

一希は合宿とかでわりと関わることが多い。
歳の近さもあり、今では気軽に話せる仲だ。

刑事といつものようにグダグダと話していると、勢いよく扉が開いた。

「あー、ここにいたの」


息をつきながら言うその人は

「ゆづ！？」

おはよ、と手を振る羽生結弦。

「なんでここに？」

痛々しい松葉杖で、私たちのところまで来る。

「日本に居られるの今しかないと思って」

ハテナを浮かべる私の前に立ちゆづはいつになく真剣な表情をした。

「･･･A、一緒にカナダに行かない？」

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