UNLEASHED

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田辺side

女子個人戦SP当日。

滑走順はあのザギトワのあと。

「緊張してるか？」

男子はゆづが金メダル、昌磨が銀メダル。
刑事はジャンプの失敗が響き、18位。
でも、刑事は成長したと思う。
悔しそうな顔をしてたけど、どこかすっきりしていた。

──頑張れ

ゆづにも、昌磨にも、刑事にも、みんなに言われた言葉。

「してますけど、やるだけです」

林コーチに笑って返す。

練習ではいまいち3回転アクセルは決まってない。

SPなら回避するという方法もあると思うけど、私は跳んでみせる。

勝つために、自分らしい演技をするために。

「行きましょう、コーチ」

「あぁ」

✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳
ザギトワの演技が終わる。
完璧な演技に大歓声があがった。

ザギトワがリンクサイドに戻ってきたとき、
一瞬微笑みながらこっちも見た。

──負けない

この前の私とは違う。

ふっ、と息をつきリンクへ入った。

ジャンプの確認をし、林コーチの元へ。

「A、楽しめ。
4年に1度の舞台だしな」

「はい。
･･･コーチ、ここまで連れてきてくれてありがとうございます」

きっとコーチがいなければこの舞台までこられてなかった。

「Aの力だよ、行ってこい」

林コーチに背中を力強く押され、飛び出す。

もう3人私をここまで連れてきてくれた人がいる。

「A頑張れー！！！」

一際目立つ3人の声が聞こえた。

──刑事、ゆづ、昌磨、見ててね
私の演技

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