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田辺side

「ねぇー刑事〜」

「なに?さっきから」

「何でもなーい」

刑事がため息をつくのが聞こえる。

まぁそりゃそうだ。
さっきから同じやりとりを10回はした。

「あのねー俺も暇じゃないの。
ふざけてる暇あるなら帰るか練習したら?」

そう言うと、刑事は私の元から離れていった。

「──だって、緊張してんだもん」

そう、私は緊張している。
4日後にはオリンピック代表選考会でもある、
全日本選手権が開幕するからだ。

小さい頃からの夢であったオリンピック。
絶対出たい。

そんな思いを胸に私はジャンプの助走に入った。

跳ぶのは3回転アクセル。

グッと踏み切り跳び上がる。

──成功。

若干フラ着いたが加点は充分つくだろう。

「A」

いつの間にかリンクサイドには、林コーチがいて名前を呼ばれた。

スーっと滑りながらコーチの元へ行くと、

「明日、移動だろ。準備したのか?」

あなたは親か!──と、言いたくなるような事を言われた。

「なんですか急にー。そんな心配しなくても大丈夫ですよ」

実際準備してないけど。

「3回転アクセル、いい感じだな。
本番、今の所3本入れてもいいと思う」

「絶対入れます、ってか入れないとヤバいです」

そう言うと、林コーチは笑った。

「刑事も明日行くってよ。
おまえが心配だからって」

本来ならあと1日ここにいてもいいはずだ。
刑事にとっても大きなチャンスの全日本。
いつもは一緒に行こう、と声をかけていたが、今回はかけなかった。

「──馬鹿ですね。刑事も」

「あいつも4回転決まってきてるからな。
ダブルでオリンピック、頼むぞ」

「当たり前です」

コーチはうなづくと、その場を離れた。

「A、そろそろ帰るぞ」

「はーい」

刑事と共にスケート場を出て、歩き出す。

「明日何時だっけ」

「は!?なんでわかってないの!?
意味わかんねー」

「うっさいなー」

夜の静かな街に私達の声が大きく響いた。

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なべ(プロフ) - 架音さん» 返信遅くなりました、すみません。いつもありがとうございます!!昌磨くんオチですね参考に致します。そろそろ完結させようと思っておりますので最後までよろしくお願いします!! (2019年12月18日 18時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
架音 - こんばんは!楽しく読ませていただいております!ぜひ、昌磨くんオチお願いします! (2019年12月17日 21時) (レス) id: e40e7f28e3 (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - ありがとうございます!!田中刑事さん好きなんですね、参考に致します。これからもよろしくお願いします!! (2019年4月16日 21時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)
???(プロフ) - 田中刑事さんがいいです!!! (2019年4月16日 20時) (レス) id: 145a60b08f (このIDを非表示/違反報告)
なべ(プロフ) - 櫻宮みゆさん、読み返すだなんてホントに光栄です!確かに田中刑事さんオチは少ないですよね。参考に致します。これからもよろしくお願いします! (2019年4月15日 19時) (レス) id: f19b1505d1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なべ | 作成日時:2019年3月25日 18時

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