With you

勉強と誘惑──S.Y ページ8

「草太ー」

「ん？」

「疲れたなー」

「んー」

短い返事だけして、ここの数式は...と言うとわざとらしいため息が聞こえてくる。

「ねぇ疲れたってば！
もう無理〜」

足をジタバタとする彼女に仕方なく顔を上げる。
すると目の前に不満げに頬を膨らませるAの姿。

「･･･こうなってるのAのせいだからね」

全日本シニア合宿だというのに練習後ホテルで勉強会。

「それはっ！草太が変なことしようとするから･･･」

まぁAが言うことも一理ある。
練習後、俺はAを自分の部屋に呼んだ。
練習の話をしていくうちに甘い雰囲気になり、俺がたまらずAを押し倒すと、慌てた様子で「あ！勉強！！テスト単位とれないかも！」
と叫び、ポカンとしている俺を押しのけ勉強を始めたのだ。

「はい、ゴチャゴチャ言ってないで早く覚える」

俺がペンで問題を指すと、あーと色気のない声を上げる。
しかし、何かを思いついたようではっと俺をみた。

「･･･何？」

「そーた」

その声と共に頬に熱い感触。
驚いて目を見開くとAは俺の腕を組む。
一生懸命上目遣いで俺を見るA。
･･･なるほどね

「もう遅いよ、それさっきやってれば良かったのにね。･･･あと」

そう言いながら俺はAの唇にキスをした。

「するならここじゃなきゃ」

「･･･んもう！草太！！」

頬を真っ赤に染めて抗議するA。
そんな顔も可愛いけど今はAの勉強に集中。
だってガチで単位とれないレベルだから。

✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳

「･･･よし、そろそろ終わりにしようか」

一通りの問題を解き終わってそう告げると、Aはぐったりとした様子。

「もー無理。このまま寝たい」

「それはダメでしょ」

Aが何かを言おうとしたようだが、かまわず口付ける。
自然に腰をひくAを逃がすまいと引き寄せた。

「･･･さっき誘ってきたくせに」

そう呟くとあれはっ、とまた言い訳が聞こえてきた。
無視してAを抱き上げベッドへ連れて行く。

「ちょっ、草太！？」

「喚くな」

焦るAに覆い被さる。
逃がさないよ、A。

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