With you

Trigger──N.C ページ7

そんなこんなで私達は付き合うことになった。
まぁ、大きく変わることはなかった･･･と言ったら嘘になるかもしれないが。
一緒にどこかへ行ったり、お互いの家へ行ったり、甘い雰囲気になったり･･･。
家に誘うのは決まってネイサンの方からだったし、同棲しようと言ったのも彼から。
付き合ってから1年でここまで進むのは早いのかもしれないが、私は彼しかいないと思っていた。

「愛されてるね」

リンクメイトからも友達からもそう言われてきた。
もちろん私自身もそう思っていたけど、ネイサンは違うのだろうか。
もしかしたら私に飽きてしまったのか。

「A」

名前を呼ばれてはっとして目を開けると目の前に彼の顔。

「どうかしたの？うなされてたけど」

いつの間にか寝てしまっていたらしく、ベッドの上に2人で寝転んでいた。

「なんでもないよ」

「ならいいんだけど」

大きくあくびをして、目を閉じた彼。
髪が顔にかかっていて、払いのけようと手を顔の前に翳す。
窓から差し込む光でキラッと輝く指輪。
･･･指輪？

「･･･嘘」

私の指にしっかりと合った指輪。
ルビーの宝石がついていて、いかにも高そう。
１ヶ月記念、覚えてたんだ。
ネイサンはネイサンなりに私の事考えていくれていたのかもしれない。
嬉しくなって隣にいる彼に抱きつく。

「ビックリしたでしょ」

「･･･うん」

耳元で彼の声、背中に回る手。
全てをしっかり味わいながら彼の胸に擦り寄った。

「ごめんね、忙しくて」

「指輪くれたから許す。
･･･いつ指のサイズとったの？」

「Aが寝てるとき。」

A全然起きないんだもん、と彼は笑った。
安心と共に押し寄せる眠気にそっと目を閉じる。

「寝させないよ」

その声と同時に身体の向きが変わり、天井と彼の顔が視界に広がる。

「せっかくの記念日だし、思い出作り」

そんな適当すぎる理由だけど、私は彼に逆らえない。

どんなきっかけでもいい──









──Trigger

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