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　　ー０３° ページ48

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「奇遇だなぁAちゃん、」

　大量の食材を掻き分けてがさがさと取り出し、9つの赤が溢れるパックをAの前に差し出した迅は再び声を継ぐ。

「おれも同じこと考えてた」

　蒼の両眼がはにかむように細まると、その様子を目にしたAは状況を理解したのかようやく自然な表情で可愛い笑い声を零した。

「ふふふ」

　Aが木虎と話していた前に迅は嵐山から同じ理由で同じものを受け取っていた。迅のほうの苺も玉狛支部の人員より1つ足りない9つだったが、Aと同じで「先に食べたとか言ってごまかそう」と考えていたのだ。

「おれたちめちゃくちゃ優しくない？」
「うんうん、優しい」

　互いに視線を絡ませて笑い合う。学生らしい爽やかな笑い声が楽しそうに玉狛のリビングに上がっていた。

「おれが貰った分も合わせたら1人1個は確実だから……8人は2個食べれるな～」
「こなちゃんと陽太郎は絶対2個目まで食べるよ」
「Aちゃん2個いらないの？」
「食べたい！」
「嵐山たちに感謝しなきゃだな」

　二人が苺を中にしまい込んで冷蔵庫の扉を迅がパタンと閉じると、離れた玄関先から誰かのおかえりが聞こえた。

「ただいま～」
「おかえり～」
「おかえりなさい！」

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