駆け引き ページ13
＊
｢私ですか?あぁ、外で大丈夫ですよ｣
何だかんだ寝ることになったのだが。殆ど出来上がりつつある拠点の余った部屋を使わせてもらうことになった。
…総統さん、私の意見を尊重するって言ってなかったか?
｢体調面や安全面は万全にしておきたいだろう?｣
…なんというか。彼がリーダーな理由がわかった気がする。
草の上ではない、柔らかい布団で眠ったのは実に数日ぶりだった。
___
窓から差し込む光で目を覚ます。おはよう、実に目覚めのいい朝だ。朝は朝でも明朝なため私を除いてはまだ夢の中だろうが。
手櫛でサッと整え、一つに纏める。生活用品も欲しいところだ。
多分大半がこんな朝早く起きて何やってんだよと思うだろう。ズバリ答えよう、素振りである。精神統一、というより眠気覚ましに近い。
早起きはそんなに得意ではないのだが、何せこんな世界に召喚された身である。油断も隙もないこの世界は、一人で探索をしていた時ほど心細いものは無かった。要するに暇だったわけで。こうやって続けてたら、いつの間にか習慣化していた。
とはいえ、朝っぱらから剣を振り回す音で彼らが起きてしまってもいけない。少々拠点から離れて剣を振っているので問題ないだろう。
獣達は活動を始めたのか、ちらほらと気配がしなくもない。と、柄を握り直したところで地面を踏みしめる音がした。
｢誰や思ったらアンタやったか。｣
｢…ゾムさん?｣
音がした方へ顔だけを向ければ、緑パーカーを羽織った彼がいた。昨日まで目深く被っていたフードは今は外され、彼の服と同じ色の瞳が覗いている。
｢どうも、朝から性が出ますねえ｣
｢……すみません、起こしてしまいましたか？｣
｢いや？俺が早起きなだけや。｣
元々早起きらしい彼は、朝番…彼らを起こす役目を担っているんだとか。それで朝一番起きたら剣振る音がしたもんだから、音を辿ってここまで来たと。
だが、彼がここへ来た理由はそれだけでない。
｢それで、さっきから銃を突きつけている理由を聞いても?｣
｢エラい肝座ったオネエさんやなあ｣
淡白な反応で返せば意外、とでも言うようにあっさりとその銃を下ろした。
｢あれ、撃たないんですか?｣
｢撃つ弾すら入ってへんよ。｣
と、殺気が尋常ではないほどに膨れ上がるのを感じた。ガキィン、鉄と鉄が擦れる金属音が響く。
彼はくつくつと喉を鳴らし、ニィとその口元を釣り上げた。
｢気ィ変わったわ――アンタ、最高やな｣
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 60人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
うゅ - いつまでも更新待ってます！ (2019年7月6日 2時) (
レス) id: cb2d6bad92 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - もふまる。さん» ありがとうございます！好きなものの組み合わせは最高ですよね！ (2019年6月13日 1時) (レス) id: b62f39a03d (このIDを非表示/違反報告)
もふまる。(プロフ) - わぁお。好きなもの×好きなものは最高だな。続き待ってます！ (2019年6月13日 1時) (レス) id: 3071cca8f8 (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - うゅさん» ありがとうございます…!!ようやく初コメが!!((好みだと思って下さって本当に嬉しいです！更新頑張ります！ (2019年3月24日 14時) (レス) id: b62f39a03d (このIDを非表示/違反報告)
うゅ - 初コメ失礼します! こういうのめちゃくちゃ好みです! 更新がんばってください！ (2019年3月24日 13時) (レス) id: 147b122877 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
