現実世界 ページ22
黛灰「おはよ。」
「ん。」
夢を見た。後輩が目の前で車に轢かれ、頭を潰されるという、酷い夢だ。
後輩はこの通り元気にしている。仲良くしてくれている。そんな後輩を俺は、夢の中で殺した。その事実があるだけで顔が合わせづらいし、今日の収録もちょっと気まずいかもしれない。
そんな俺を気遣ってか、後輩は自動販売機で買ったおしるこを俺に投げつけた。後輩面もせず、かといって調子にも乗らない彼女に、少しは救われている。
加賀美ハヤト「おはようございます。」
「おはようござまーす。ろふのゲスト出演だなんて光栄ですよぉ、本当に。」
加賀美ハヤト「いかにも面倒そうな言葉遣い......さては夜ふかししましたね?」
「テレビが面白すぎたんですってぇ。」
黛灰「......」
気が楽になったところで、卒業という形は変わらないのだが。俺は卒業すると決めた。決めたことは曲げない。もう二度と曲げはしない。それでお前も少しは救われるんだろ?
黛灰「(ん?俺が卒業したら後輩が救われるって......なんだ?)」
「おや。人が倒れている。」
加賀美ハヤト「ちょっと見てきますね。大丈夫ですかー?」
「............寒いなぁ。こんなにも雪が降る日は、血がよく目立つ。」
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作者名:琲世 | 作成日時:2022年4月14日 8時