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御伽原江良「......あり、がと、ぅ。」
シェリン・バーガンディ「寿命は......尽きますね。貴女の最後、僕が看取りましょう。何か遺言はありますか?」
世界は変わる。在り方も変わる。
重症患者として指定された彼らは、寿命が尽きれば還元されることがない。ただの欠片となって、虚空へと消えていくのが当たり前となった。
そのすべてが同じことを言う。死にたくない、と。
御伽原江良「わたし、ね...いきて...よかった。」
シェリン・バーガンディ「怖くないですか?」
御伽原江良「うん...」
彼女は死を目前に、生を手放すことを選んだ。それは生を諦めたわけではなく、生物としての最後を受け入れたが故に。
シェリン・バーガンディ「......御伽原江良、消滅を確認しました。敵対生命の死体、持ち帰りますか?」
『ちゃんと小型データにまとめるように。』
シェリン・バーガンディ「了解しました。」
小型化されたデータも、必ず共同墓地に挿入することが義務付けられている。先代の姿を模したデータと共に眠りにつき、どうかその魂が浄化されるように、と。
ゼウス「うんうん。今日もいい仕事をしたね、君たち。五道転輪王、この魂の判定を後日頼むよ。」
五道転輪王「了解した。とりあえず先代に花を捧げるぞ。」
ハデス「そうだなぁ。......死後もご苦労さん、A。」
我らが敬愛する先代と共に、安らかな眠りにつきますように。
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作者名:琲世 | 作成日時:2022年4月14日 8時