one more chance【御幸一也】 (ページ20)

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20(亮介side) ページ20

七瀬「そうだよね。でも、私は一回だけなら戻れるの」

七瀬先輩は胸元の赤いネックレスに手を当てて微笑んだ。

七瀬「戻っても私の運命は変わらないけど、それでも春休みの歩ける間だけ···だめかな？」

七瀬先輩はまっすぐ俺を見た。

さっきまで虚ろな目をしていたのに、今は生き生きとした目で、俺は七瀬先輩の言うことが嘘に聞こえなくなった。

そして先輩には悪いけど、そんな非現実的なことを体験できるかもしれないということに、すごく興味を感じたんだ。

過去に戻れたら、春休みの試合で打てなかったあのコースも打てるかもしれない。

ミスも減らせて、監督にいいアピールができるかもしれない。

一石二鳥だ。

亮介「わかりました。先輩と一緒に戻りますよ」

俺がそういうと、七瀬先輩は満面の笑みで涙を流した。

七瀬「ありがとう」

ちょうどお迎えが来て、七瀬先輩は車イスで帰っていった。

俺も授業が始まりそうだったから急いで教室に戻った。

そして授業が終われば流れるように練習、ご飯を食べて自主練をして、入浴を終えベッドへ。

ベッドに入ってやっと七瀬先輩のことを思い出した。

過去に戻るって言ってたけど、どうやって戻るんだろう。

俺、何かしなきゃいけないのかな。

そんなことを考えながら、気づいたら眠りについていた。