one more chance【御幸一也】 (ページ12)

今日:7 hit、昨日:12 hit、合計:5,873 hit

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ここ最近の練習試合は、勝ち星が多いけどパッとしない試合ばかりだ。

監督も何かの起爆剤になれば、と薬師との練習試合を組んだのだろう。

レギュラーが定まっていない中で、みんなが試合に出ようと必死に練習してる。

···ていうか、負けるんだよな。試合。

降谷はまだしも、沢村はイップスを克服できずに甘いところにボールが入って打たれちまう。

そしてピッチングも禁止される。

きっと俺が未来を知っていたからといって変えられることではない。

あいつが成長するには大事な試合だしな。

せっかく過去に戻ったんだから、七瀬だけでなく野球部のためにも何かしたいよな。

御幸「でも、一体どうやって···」

部室の前のベンチで一人呟いた。

俺以外はみんな寝てるから俺の言葉は誰にも聞こえない。

「何考え込んでるの？野球のこと？それとも···」

御幸「へぁっ！？亮さん！？」

気づくと隣に亮さんが座っていた。

驚きすぎて変な声出ちまった···

亮介「驚きすぎじゃない？俺がバケモノみたいじゃん」

御幸「す、すみません。ていうか、なんでここに？」

亮介「この前言ったでしょ？俺はいつも近くにいるって」

やっぱり亮さんってなんか人間離れした力持ってんのかな。

亮介「持ってないよ」

御幸「え、今俺口に出してない···」

亮介「あ、間違えた」

間違えたって何！？

まあまあ落ち着け俺。今日こそ亮さんに教えてもらおう。

御幸「まあ、考えてたのは野球のことでもあるんですけど···。今回の七瀬との出来事もワケわからなくて···」

亮介「七瀬···?あの子も七瀬って言うんだ」

亮さんは笑みを浮かべたままだったが、一瞬表情が固まった。

御幸「亮さん知らなかったんですか？ていうか、あの子もって···?」