【FHQ】世界が終わるその前に【及川徹】《完結》

39俺と一緒に ページ43

「やだ、大王、死んじゃいやです」


いつもとあまりにも違う大王の姿で
涙がボロボロと落ちる。



「泣かないで。

いつものAが見たいな、俺」




いつもの私…よく冷たいと言われる私。



大王自身も冷たいと言っていたのに。









ゴゴゴ、と音がして地にヒビが入る。




ついさっきまで美しく咲いていた花

輝く緑の草木も枯れ、


まるで世界が灰色になっているようだった。









世界が…大王の造った世界が…



「もう、何もかも終わるね」








これを見れば、世界が終わる…


_____大王の死、




それが近づいてきているのがわかる。







でもやめて、そんなこと言わないで


______死なないで




その言葉をぐっと飲み込んで








「そうですね、このままだと
あなたの造った世界は終わりますね」



こう言った。





語尾が震えてしまったけど、大王の望む
“いつも通りの私”だ。






「ははっ…冷たいね」



自分がいつも通りがいいって言ったんでしょうが。









「Aはさ、俺の命令に全然従わなかったけど」



「それは命令というより単なるワガママ
ばかりだったからでしょう」






食い気味で言ってやった。





この人の命令…と言って思い出せるのは





“命令、あと五分寝かせて”

“命令、あーんして食べさせて”



…そんな事ばかり。

やはり単なるワガママだ。





「遮らないでよ。






―――ねえ、大王としての最後の命令…

いや、ワガママ。聞いてくれる？」







「内容によりますね」




最後の、という言葉にズキリと胸が痛む。



それを悟られないように、冷たい言葉を放つ。







「そう言うと思った」








青白い顔で笑って

赤く血濡れた手で、私の頬をなぞる大王。







.








.








「______ねぇ、A



.







.









俺と…一緒に死んでくれ」

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