【FHQ】世界が終わるその前に【及川徹】《完結》

29戦ったら最後 ページ33

【イワイズミside】






「いいのか、神を敵に回して」





最終的に俺が裏切った形になってしまったかつての友人、オイカワ。


確かにお前は強い。






…でも、神は敵に回していい相手じゃない。








今ならまだ間に合うんだ。


悪いようにはしない。エル様をこちらに渡してくれ。







この、俺の想いは虚しく、


「関係ない。無理矢理取ろうとするなら
戦うよ。イワちゃんでも、神でもね」




真っ直ぐに、俺の目を見て言い放ったオイカワ。

迷いのない目。





―――残念だ。


「お前とは戦いたくなかった」





お前とは、戦いたくなかったよオイカワ。









「ねえイワちゃん。戦う前にちょっと聞いてもいい？



どうして、“そっち”に行っちゃったの？」






“そっち”というのはカラスノ側、神の家来、

ということだろう。





俺だって、好きでここにいるんじゃない。



今から20年前、まだオイカワの協力者として傍にいた時、神の声を聞いた。







《お主の力が必要だ。私の家来になれ》






勝手なくそジジイ。ふざけるな。

こう思い、この時は断ろうとした。









だが


《断ったらこの世界の全人類を消す》




“全人類の命はお前にかかっている”という脅し。




神はこんなに汚い手を使うのかと絶望した。







そんなにたくさんの命の責任は俺には負えない。

従うしかなかった。




だから、オイカワの元を離れ、カラスノの者になり今に至る。



カゲヤマも同様らしい。








「神の命令なんだ。


あの方には…逆らっちゃいけねえ」




最後の警告も兼ねて言う。





俺にオイカワが倒せるなら、命までは奪いはしない。



でも、正直それができるかわからない。






もし、オイカワが俺に勝ったとしてもまだヴァリがいる。


ヴァリと戦ったら最後、確実に負ける。






______殺される。

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