【FHQ】世界が終わるその前に【及川徹】《完結》

最後のワガママ ページ1

草木も水も枯れて、


地にヒビが入って、


すべてが灰色になって、





あなたが造った、明るくて
とてもきれいなセカイが、


崩れていく。







,









,









「―――A」






いつもとは違って、弱々しく
あなた自身が付けた私の名を呼ぶあなた。






『なんですか？』






『――もう、何もかも終わる』




この世界が終わるということ。

この人もさすがに気付いているようだ。




『そうですね、このままだと、
あなたの造った世界は壊れますね』



『ハハッ…冷たいね』






この性格は元からだ。


付き合いの長いあなたなら、
私の性格はとっくに知っているでしょう？




『Aはさ、俺の命令に全然従わなかったけど』

『それは命令というより単なるワガママ
ばかりだったからでしょう』



食い気味で言ってやった。





この人の命令…と言って思い出せるのは





“命令、あと五分寝かせて”

“命令、あーんして食べさせて”



…そんな事ばかり。

やはり単なるワガママだ。





『遮らないでよ。






―――ねえ、大王としての最後の命令…

いや、ワガママ。聞いてくれる？』




『内容によりますね』


『そう言うと思った』





青白い顔で笑って

赤く血濡れた手で、私の頬をなぞる。






、









、








、








、






『______ねぇ


俺と________』

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