75話 ページ28
夢主side
『私も少し覗いてく。』
皆は少し驚いたようだったが、小塚君だけは何かを悩んでいるような顔をしていた。
ビルのM&Mに戻ると、上杉と立花さんが謎に言い合いをしていた。そして、エレベーターが開いた瞬間に若武の声が響いた。
若武「あ!いたぞ!!」
指の先には猫が1匹。
若武「黒木、そっち回れ。上杉は反対側!!」
上杉「逃がすなよ!」
若武の合図で猫を捕まえにかかる。小塚くんと立花さんは邪魔にならないようにと、待っているようだ。
猫が階段を降りてしまったため、2人を残して私達は1つ下の階へ通る。やっと若武が捕まえたが、猫は逃げるように暴れる。
上杉「きらわれてるんじゃないか?」
若武「なんだと!」
すると、猫はするりと若武の手をぬけたと思うと、私には飛びついてきた。
『わ!』
慌ててキャッチするように手に猫を収める。と、私の頭で、点と点が繋がっていくような気がした。
『ねぇ、黒木。この猫ってさ、どこから出てきた?』
黒木「えっと、あっちの草がある方だと思うけど、どうかした?」
私は慌てて猫を自分の体から離して、小塚くん達のところへ行く。小塚君は私と同じことを察していたらしくて、猫を見るなり慌てて箱を差し出してきた。
小塚「その猫、ここの中に。この猫触ったのは!?」
『遅かったよ。私と他3人は危険だね』
その言葉に焦ったように小塚君は奥のシャワースペースを指さして言ってきた。
小塚「奥のシャワーブースにいって、シャワー浴びて。お互いの体を点検して、小さな傷も見逃さないで。もしあっても、触らないで僕を呼んで。今着てる服はブースの中で脱いでそのままにしとくこと。」
若武がなにか言いたげだったが、小塚君は言わせなかった。
『説明は後でする、とにかく早く。』
小塚「あ、亜蓮は、アーヤに」
『えっと、それは大丈夫、』
小塚「大丈夫じゃないよ!」
流石に立花さんに見せる訳にも行かない。昔のこともあるし、組織暮しなのだ。体なんて傷だらけだ。
『わかったわかった。ちゃんとチェックはするから、1人でいい』
小塚君はまだ言いたげだったが、今度は私が言わせなかった。
私はみんなの入ったシャワーブースの手前にあるシャワー室に入る。服を脱いで右肩から左の脇腹に掛けて巻いてある包帯に手をかける。
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奇 - 超超超超超超超超超面白かったです (7月20日 14時) (レス) @page31 id: 17cecd1d55 (このIDを非表示/違反報告)
奇 - ガンバ! (7月20日 14時) (レス) @page31 id: 17cecd1d55 (このIDを非表示/違反報告)
奇 - 面白いです! 頑張ってください。 (7月20日 14時) (レス) @page31 id: 17cecd1d55 (このIDを非表示/違反報告)
シルクロック - ものすごく面白いです!これからも、応援してます(*^^*) (2021年5月23日 12時) (レス) id: c954b48120 (このIDを非表示/違反報告)
あんな - (続き)頑張りすぎて怪我したり、倒れちゃう夢主ちゃんを黒木くんが叱ったり、黒木くんを夢主ちゃんが必死に守ろうとしたり…。どこか暗い過去を感じる二人の絡みは、想像すると止まりません(笑)長々とすみませんでしたm(__)m参考程度に見ていただけると幸いです! (2021年3月12日 15時) (レス) id: 8be13c14ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ウルフ | 作成日時:2021年1月11日 14時