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Kosei side
物心が付く前からずっと一緒だった。
俺の隣には当たり前にAが居たし
Aの隣には当たり前に俺がいた。
いつからか黒い感情を抱くようになった。
友達にAの容姿を褒められた時だったか、俺を使って言葉を交わされた時だったか、行事で他の子と手を繋いでいたのを見た時だったか、いつからなのかは覚えてない。
最初の頃はそんな、可愛い嫉妬心だったはず。
もともと内気で人見知りで、俺の知らないところで俺以外と関わる事のないAは、俺の中の嫉妬心や独占欲、支配欲を芽生えさせ、そんな醜い感情を強くさせる一方だった。
全部、俺だけで良いと思ってる。
Aの声を聞くのも、笑顔を見るのも、喜ばせるのも、悲しませるのも、苦しませるのも 全部全部俺だけでいい。
俺が居ないとダメなAのままでいい。
アホらしい寝顔、拗ねると少し膨らむ頬、離れると分かりやすく不安そうになる顔、長く伸ばした髪の一本一本までも全てが憎らしい程に愛おしい。
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金曜日だった事もありいつもより早く切り上げられた委員会。
ここ数日同じ場所で待っていてくれたAの姿が見当たらず、待機しているであろう教室に向かえに行く事にした。
階段をあと数段登れば教室のある階に着くといったところで転校生とすれ違った。静寂に包まれた校舎。Aが待っている教室から出てきたであろう黒田を見て 入学式の日の事が、それ以上の嫌な想像が頭を過る。
「おい」
黒田「…」
「黒田」
黒田「なに」
「Aには手出すな」
黒田「あー。今までもそうやってAちゃんの人間関係潰してきたわけ。」
「は?」
全てを見透かしたような態度でヘラヘラしている黒田に思わずカッとなって胸ぐらを掴む。
黒田「お前が作り上げた身勝手な環境で無自覚に縛られて過ごしてんだ。Aちゃんは」
「お前…!」
黒田「いいの?こんなとこAちゃんに見られても。」
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作者名:夜這 | 作成日時:2023年3月28日 17時