狼少女はお嫌いですか？ (ページ10)

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step10 ページ10

Your side

実行委員から今年のコースについて説明を受けた。
今年の障害物は全部で６個だとか。

よーいドンで走り始めて、平均台を渡って、三輪車で走って、終わったら風船割り。
ここまでは普通なんだけどね。

その次はパン食い。確かにコース上にはパン食い競走のようにパンが吊るしてある。
ちなみにこのパンはゴールまでに食べ終わらないと失格だとか。厳しい。

更にその次は、借り物。借り物競走のようにお題が書かれた紙を引いて応援席から借りるらしい。
……何かもうネタに走ってるよね？

そして最後が問題なんだ。
最後はバスケットゴールにフリースローを決めなきゃいけないんだけど、私は球技が苦手でフリースローなんて１０本うったって入る気がしない。
終わった。無理だ。

憂鬱な気持ちを拭えないまま実行委員に促されてスタート位置につく。
嫌だなぁ、フリースローあるなんてついてない……。

そんな気持ちのまま何となく応援席の方を見てみると、最前列に陣取った怜央とばっちり目が合った。
怜央は私の不安な気持ちになんて気が付かずにニコニコと笑いながら大きく手を振っていて。

本当に最前列で応援してくれるんだ。何かちょっと嬉しいな。
……フリースローはともかくとして、とりあえず頑張ってみようかな。

「よーい」

パンッ

ピストルがなって、２０人近くの参加者が一斉に走り出した。

スタートダッシュが上手くいったのと平均台が運良く１発で渡れたのとで１位になれて。
三輪車と風船割りが終わった時にもまだ１位のまま。

１番でたどり着いたパン食いは選びたい放題だったから、一番低いところに吊ってあったパンを咥えたはいいんだけど……。

走りながらパン食べるって超過酷！！
口の中の水分持っていかれるし喉渇くし最悪だ。

もそもそとパンを食べながら借り物のお題を書かれた紙を引く。
借り物ってどんなのが出るんだろう。
そう思いながら紙を開くと。

『……っ！！』

すごい……すごいラッキーだ私。
急いで応援席に走る。お目当ての人はすぐに見つかって。

『怜央！来て！！』
長妻「俺？いいよ！！」

最前列で応援してくれていた怜央の手を引いて走り始めると、会場中から冷やかしの声が上がって。
……まあ、気にしてたらきりがないから私も怜央も無視だけど。

もしかしたら、上手く行けば、私は１位でゴールできるかもしれない。
元バスケ部エースの力を借りれば、ね。