狼少女はお嫌いですか？ (ページ8)

今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:23,738 hit

step08 ページ8

Your side

「絶対優勝するぞー！！」
「「おぉっ！！！」」

グラウンドにこんな声が響く。
そう。今日は体育祭当日。

美咲「準備から当日まであっという間だったよねー。」
『当日だって実感、湧かないや。』

うちの体育祭はクラス対抗で。
今年で最後の３年生は当然本気モード。
私達３年Ｂ組も、揃いの青いハチマキを巻いて円陣を組むくらいにはガチで。

美咲「A、競技何出るっけ？」
『え？えーっと……障害物競走と選抜リレー、だった気がする。』
美咲「A、足速いもんねー。」

私は運動神経はそこまで良くないのに何故か短距離走だけはそこそこ速くて。
体力がないから長距離はからっきしなんだけどね。

『美咲は？何出るの？』
美咲「私はねー……あ、二人三脚出るよ。あと、騎馬戦の大将。」
『あー、体育祭実行委員だもんね。』

毎年伝統として、各クラス男女１人ずつの実行委員が騎馬戦の大将騎をやっているんだ。
美咲は地味に運動神経がいいから強そうだなって密かに期待してる笑

美咲「あ、ほら、100m走始まるよ！応援しよ！」
『うん、そうだね。』

頑張れー！！なんてクラスメイトの名前を呼べば、こちらを向いて大きく手を振ってくれて。
体育祭なんてあんまり好きじゃない私もだんだん楽しくなってきた。

？「あーっ、A、ようやく見つけたー！」

そんな声と同時にワシワシと頭を強く撫でられたのは、丁度こんな時で。
聞きなれた声に、髪をぐちゃぐちゃにする大きな手。間違いない。

『あ、怜央。来てたんだ。』
長妻「そりゃあもう！Aの勇姿を見届けに来るに決まってんじゃん！！」

幼なじみの、長妻怜央だ。
怜央は一学年上で、３月にこの高校を卒業したばかり。
一応バスケ部のエースだったから、割と人気者だったり。

美咲「長妻先輩、今日はお暇なんですか？」
長妻「そーそー。たまたま仕事なくてラッキーって感じ。」

実は怜央は、大学には通わず芸能関係のお仕事をしているらしい。
詳しくは知らないんだけど、ファンだっていう人をたくさん見かけるから結構有名なんだと思う。
まぁ、怜央は顔だけはかっこいいから向いてるのかもね。

長妻「てかA、100m走出てないんだ。速いから出ると思ってたのに。」
『うん。その代わり障害物競走と選抜リレー出るよ。』
長妻「え、マジか！一番前で応援しとく！！」
『そんな気合い入れなくても笑』

とは言いつつ応援してくれるのは嬉しいけど。
……頑張ろう。