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Kentaro side
森田「……やっすー、何ニヤニヤしてんの。」
安井「えっ!?ニヤニヤって、俺が?」
森田「うん、やっすーが。
ずっとスマホ見てにやけてんじゃん。」
雑誌の撮影待ちの間、楽屋で美勇人にそんなことを言われた。
ニヤニヤって……モロみたいじゃん……。
全然そんなつもりはなかったんだけどなぁ……。
そう思ってもう1度手に持っていたスマホに目を落とそうとすると、
安井「あっ、ちょっ、みゅーと!」
森田「へー、Aちゃんっていう子のLINE見てにやけてたんだ。」
美勇人が俺の手からスマホを抜き取っていた。
俺の顔を見てにやっと笑った美勇人。
森田「Aちゃん、ねぇ。誰なの?」
安井「……この前知り合った高校生の子。
言っとくけど、普通にただの友達だからな。」
そう。公園で2人でアイスを食べたあと、俺はAちゃんとLINEを交換していた。
多分美勇人は信じないだろうけど本当に下心があった訳じゃない。
俺より全然年下なのに、そんな風に思えないくらい大人だし、いつも気を遣っているみたいだし、常に冷静。
そんなAちゃんとなら年齢とか性別とかを越えてすごく仲良くなれる気がしたから交換した。それだけ。
森田「まあ、いいんだけどさ。
その子は知ってるの?やっすーがアイドルだって。」
安井「多分、知らないはず。」
彼女からそんな素振りは見えないし。
話した感じ、そんなに芸能に関しても詳しくなかったし、興味もないように見えたから。
森田「ふーん……。
今はいいんだけどさ。これ以上仲良くなるようならいつかは伝えなきゃいけないんじゃん?
一応俺らだって芸能人だよ?
その子と一緒にいるところ撮られたら、いくら『友達です』って言い張っても厳しいでしょ?」
安井「……そうだよな。」
美勇人の言う通り、俺だって一応芸能人で、アイドルで。
いくらプライベートは自由と言ったって、それでファンの人悲しませたら仕事にも関わる。
だから俺は軽率に行動する訳にはいかないんだ。
安井「わかってるよ、みゅーと。
でも、Aちゃんとはこれからも仲良くしていきたい。
だから、俺なりに考えて行動するようにする。」
森田「……ん。やっすーなら、上手くやれるっしょ。」
たかだか仲良くするだけなのに大袈裟だなって言われるかもしれない。
でも、俺と関わることでAちゃんが傷つく可能性は大いにあるんだ。
……絶対に守る。俺が。
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作者名:綺羅 | 作成日時:2017年6月1日 23時