狼少女はお嫌いですか？ (ページ4)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:23,735 hit

step04 ページ4

Your side

安井「へぇ、こんな所に公園なんてあったんだ。」
『小さいところですし、地元の人しか知らないでしょうけどね。』

アイスを持って財布の人(仮称)と来たのは、コンビニからほど近くにある公園。
最近は全然来ていなかったけど、小さい時はここで遊んだりもしてたんだ。

安井「それにしても、また会うとは思ってなかったなぁ。」
『本当ですね。前回会ったの、全然違う駅でしたし。』

モナカアイスを口に運びながら、のんびりと話す財布の人。
前回会ったのは高校の最寄り駅で、今日は家の最寄り駅。かなり遠いはずなんだけど。
偶然ってすごい。

安井「手、すごいカラフルだけど、美術部とかなの？」

アイスを食べる私の手を見て、そう言われる。
改めて自分の手を見ると、赤だったり青だったり白だったりで汚れていて。
あー、背景でペンキ使ってたからなぁ。

『演劇部です。キャストじゃなくて、大道具とか。』
安井「あー、そうなんだぁ。じゃあ絵上手いんだね。羨ましいなー笑」

財布の人はそう言うと、屈託なく笑った。
きっと大学生くらいなんだろうけど、笑顔は可愛いな。

『財布の人はサークルとか入ってないんですか？』

そう言うと、財布の人は一瞬ポカンとした顔をした後すごい勢いで笑い出した。

安井「財布の人ってきっと俺のことだよね？笑
変なあだ名付けないでよ笑」

……あ、私思いっきり「財布の人」とか呼んじゃってたんだ。
いや、でもよく考えると名前とか知らないから呼びようもないし……。

そんな事考えてると、

安井「俺、安井謙太郎。好きに呼んでいいよ。」
『好きにって……。』

私の心を読んだかのようなタイミングで、財布の人、改め安井謙太郎さんが名乗った。
……いや、好きに呼んでが実は一番困るんだけど。

『お友達とかからはなんと呼ばれてるんですか？』
安井「うーん、何だろ。
安井くんとか、やっすーとか、謙ちゃんとか。」
『謙ちゃん……やっすー………。
んー……安井くん、ですかね。』

さすがに他の２つは馴れ馴れしくて無理だった。
それに、安井くんには何だか安井くんって響きが似合っている気がして。

安井「ん、了解。
それで、君はなんていうの？」
『成瀬Aって言います。』
安井「Aちゃんかぁ。」

普段はあまり下の名前で呼ばれるのが好きではないんだけど、安井くんに呼ばれた時は不思議と嫌な感じはしなくて。
……何か、不思議な人だなぁ。