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step11 ページ11

Reo side



『怜央!来て!!』


最前列でAのことを応援していたら、借り物のお題を引いたAにいきなり名前を呼ばれて。
びっくりしたけど、かなり嬉しい。まさかAと一緒に走れるなんて思ってもなかったから。

仕切りのロープを越えて競技場に入ると、Aに手を取られた。
ヤバい、俺今超幸せだ。


『これ、食べない?』
長妻「え、Aが食べないなら貰う。」

どうやら走りながらパンを食べるのはキツかったらしく、Aが食べかけのパンをくれた。
そのまま一口で美味しくいただいたけど、そういえばこれはルール的にセーフなのかな?
まぁいいか。パン美味しかったし。


『怜央、後ろ来てるからペースあげたいんだけど、大丈夫?』
長妻「何言ってんの。俺一応上田陸上部やってんだけど笑」

むしろAよりは全然体力あるから余裕だよ。
そう続けたら、

『怜央のくせに生意気!笑』

なんて言われたり。
やっぱり相変わらず、俺のこと弟みたいに思ってるのかな?
昔からAの方がしっかりしてるけど、一応俺の方が年上なのになぁ。
何かちょっと、悔しいかも。



『怜央、フリースロー助けて!』

ぼーっとしている間にどうやら最後の障害物のフリースローまで辿り着いたようで。
球技がダメなAは俺の方を見て困り顔をしていた。
可愛いなぁ。……って、そんな場合じゃないんだけど。


長妻「ちなみに、俺がAの代わりにフリースロー投げるのは、」
「失格ですね。」
長妻「……っすよね。」

近くにいた実行委員に聞いてみたけど、やっぱり無理だった。
こうなったらもう、奥の手使うしかないかなぁ。


長妻「A、ボール持って。」
『あ、うん。』

俺の言う通りに構えたA。
俺は後ろからそんなAの手に自分の手を重ねて。
そうするとAは丁度すっぽり俺の腕の中にハマった。
A、意外とちっちゃいんだな。それとも、俺が大きくなったのかな?


『あの、怜央?何やって…』
長妻「はい、まっすぐゴール見て!」
『え、うん……。』

腑に落ちないような顔をしながらも俺の言う通りにするA。
ふと後ろを見ると、もう別の走者が迫っていて。
1発で決めないと、抜かされるかも。

長妻「手に力入れないでね?いい?行くよ?」
『だから何するつもりなの…。』


戸惑うAの声を無視して、Aの手を操って放ったバスケットボールは綺麗な放物線を描いて……

『おおっ!』
長妻「よっしゃ!!」

ゴールを通った。

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作者名:綺羅 | 作成日時:2017年6月1日 23時

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