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濡れた頰 ページ23

「…ん。」私は目を覚ます。私どうしたんだっけ。

…ああそうか。私、憂いの篩を見たあとに倒れたんだ。

私が思い出したと同時に、リーマスが部屋に入ってきた。

「ユーリ…。」とリーマスは一言呟いて駆け寄って来ると、私を痛いくらいに抱きしめる。

「ごめんなさい。リーマス。私…「今は何も言わなくていいから。」…はい。」

私もリーマスに抱きついた。リーマスは驚いたみたいだ。

「お兄ちゃんは何も悪くなかった。全部私のためだった。

お父さんとお母さんはお互いを殺しあって、私とお兄ちゃんを助けようとしてくれた。

おばあちゃんは全部知ってた。全部知ってて私に何も言わなかった。

私はいつも大切な人に守られてばかりだったのに、

知らないうちにその大切な人を深く傷つけていた。

知りたくなかったです。あんなこと。でも、知らなかったらお兄ちゃんが報われないから、

知ってよかったっていう思いと知りたくなかったっていう思いの板挟みです。

どうして…。お兄ちゃんが死ぬ前に、お兄ちゃんの口から直接聞きたかった。

…今は何も考えられない。考えたくないんです。私の心が壊れてしまいそうだから…。」

私はリーマスから離れると、震える自分の体を自分で抱きしめる。

自分が何を言っているかもわからない。話の筋道もよくわからない。

それでもリーマスは、私の話を真剣に聞いてくれる。

「結局私には、誰かを傷つけることしかできないんです。守ることなんてできない。

自分の気持ちを封じ込めて、それでもまだ足りなくて人から遠ざかって…。

そうしないとまた、大切な人を傷つけてしまうかも知れない。

大切な人に苦しい思いをさせてしまうかも知れない。怖いんです…なにもかもが。」

自分が思っていることを全部リーマスに伝えると、私は目を固く閉じて耳を塞いだ。

涙と体の震えが止まらない。

「ごめん…なさい。こんなこと…言うつもりじゃなかったのに…。

でも私は…「もういいよ!…もういいんだ。ユーリ…。」

とリーマスは言って、今度こそ私を離さないというように強く抱きしめる。

「僕が絶対に守るから。だから今は、僕に甘えてくれ。ユーリ…。」

私は黙って頷いた。リーマスは涙で濡れた私の頰に、優しく口づけをする。

私もリーマスの唇に口づけをした。それは深いものに代わり、力が抜けてベッドに倒れこむ。

なぜあなたは、こんな私を愛してくれるのですか…。

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設定タグ:狼人間 , リーマス・ジョン・ルーピン , ハリーポッター   
作品ジャンル:恋愛
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黒バイ(プロフ) - しらす。さん» 私もやってます! (2018年5月7日 21時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
しらす。(プロフ) - 黒バイさん» そうです! (2018年5月7日 21時) (レス) id: 83696c3d48 (このIDを非表示/違反報告)
黒バイ(プロフ) - ハリーポッターのゲームというのは携帯アプリのことですか? (2018年5月7日 16時) (レス) id: bfca25752a (このIDを非表示/違反報告)
しらす。(プロフ) - 霧崎さん» 私の作品を読んでくださり、ありがとうございます。そういうことを言って頂けて、本当に嬉しいです。無理しないように頑張ります。 (2017年12月29日 23時) (レス) id: d770bdf746 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎(プロフ) - この作品の柔らかな雰囲気が心地よく、好きでした。いつまでも待っていますので、無理をなさらないようにしてください。 (2017年12月29日 1時) (レス) id: 6ee8c035df (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しらす。 | 作成日時:2017年7月30日 20時

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