第5話-ユキナリ青年の災難- ページ12
「はぁ……」
ある日、リビングのソファにくつろぎため息を吐く青年がいた。
「あれ、ユキがため息なんて珍しい。どうしたの？」
霜月ユキナリ。
この家の主の弟にして、大学生を満喫中の青年。
そして。
ただ今絶賛、片想い中である。
お相手は言わずもがな、森ミサキ。
ただ、彼が想いを伝えられずにいるのは、決して彼が内気であるだけではなかった。
「ミサキさんの事なんだけど…」
「あー……」
ユキの悩みのタネを知った途端、姉であるAも察したように苦笑する。
この家に住まう者全員、彼が想いを伝えられていない理由を知っているのには理由があった。
「…リンタロウかぁ」
ミサキの弟である、森リンタロウ。
たった1人の弟を持つAにとって、ましてや血の繋がった家族がどれほど大切であるかはもちろん理解している。
自分でさえユキナリの事は特別だ。リンタロウにとっては、それはもう想いもひとしおなのだろう。
だが。
ミサキに想いを伝えようとするユキナリを応援する彼女とは違い、リンタロウにとって、ユキナリはたった1人の姉を奪う侵略者並みの存在なのだ。
当然、ミサキに近付けばリンタロウがことごとく邪魔をし、2人きりで出かけようとすればリンタロウもついて行き、挙句、想いを伝えようとしようものならリンタロウに殺されかける始末。
まぁ、手をあげようものなら最強の姉が黙っていないので、精々リンタロウも溢れ出る殺気をユキナリに向けるだけなのだが。
「はぁ…どうしよう…」
そんなわけで、ミサキに何一つ伝えられていないユキナリの疲弊具合も並々ではなかった。
「うーん…」
どうしたものか、とAは考える。
ユキがリンタロウに邪魔されず、ミサキちゃんにきちんと想いを伝えるためには、どうしたら良いのか。
「……あ」
そうだ。と、にっこり笑いながら彼女はとある作戦を思いついた。
「リンタロウは私が誘って一緒に買い物に出かけるから、ユキはその間にミサキちゃんと遊んでおいでよ！」
この時の彼女は、可愛いたった1人の弟の為、随分と張り切っていた。
後に、Aはこの言葉に後悔するのだが。
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麗紅花(プロフ) - 此処まで読んできましたが……不幸な終わり方ではなく、正しい道を貫く事を選んでからの幸福になるエンドで良かったです！（←語彙力がオカシイ……）。しかも、番外編的な続編もあって良いと思いました。「是非とも続きを！」と思いました。機会があれば、お願いします (2022年12月13日 16時) (
レス) @page23 id: ba1809d3dd (このIDを非表示/違反報告)
黒我 - 今更なんですが……とても面白かったです！！もし続きがあるのであれば楽しみにしております！！ (2021年11月12日 21時) (レス) @page23 id: 4b03b5f44e (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - 海月猫さん» ありがとうございます^ ^頑張ります！ (2019年6月19日 0時) (レス) id: a5f5162e93 (このIDを非表示/違反報告)
海月猫(プロフ) - 面白かったです！これからも頑張ってください！ (2019年6月18日 0時) (レス) id: db1e8d80c6 (このIDを非表示/違反報告)
桜音 - 下に書かれている方が居ますが、オリジナルフラグはちゃんと外しましょう。スタジオわさびさんに失礼ですよ。 (2019年1月17日 14時) (レス) id: 257d7b43bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アヤノ x他2人 | 作成日時：2018年6月22日 12時
