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コウside


狼裁判を告げる放送が流れる。

結局分かったのは使われた凶器だけ。
証拠が少なすぎる。


こんな状況で狼裁判をするのも不安だが…12時間が経ってしまったのだ。もう方法はない。


会場へ向かおうとして、ふとAを見やった。
さっきから…ピラニアに噛まれた時から、Aは利き手をポケットにつっこんだまま見せようとしない。

恐らく、ピラニアに噛まれて怪我をしたのだ。

だが…ユキナリがいるから、彼女は何食わぬ顔で隠しているのだろう。


「ユキナリ」
「な、何?」
「俺は少しAと話があるから、先に行ってくれ」
「…?」


疑問符を浮かべながらも、ユキナリは先に部屋を出て行く。
俺はユキナリの姿が完全に見えなくなったのを確認してから、Aを引っ張って病室へ連れて行った。


「こっ、コウ?」
「良いから」


長椅子に座らせて、俺は救急箱から消毒液と包帯を取り出す。


「腕、見せてみろ」
「…まさか、バレてた?」
「バレないと思ったのか?」
「だ、だって…ユキにはバレてないし」


確かに、ユキナリは気づいていないようだった。

観念したらしいAは、渋々と利き手を差し出す。
そっと袖をまくると、怪我は想像以上に痛々しく、俺は思わず顔を歪めた。


「…これは流石に痛かっただろ」
「い、痛かったけど…」


Aはそれ以上先の言葉を口にはしなかった。


だが、しなくても分かる。

ユキが心配するから。
きっと、彼女はそう言うに違いない。


手短かに治療を済ませて、それを伝えようと顔を上げて。



俺は、息をのんだ。



「ありがとね」


Aが微笑む。
その表情は、俺がよく知っているものだった。



何故、こんな時におばあちゃんを思い出すのだろう。

俺はまだ、何も気付けていなかった。

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設定タグ:狼ゲーム , 霜月ユキナリ , 新村コウ   
作品ジャンル:アニメ
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アヤノ(プロフ) - 鈴錬さん» ありがとうございますー!これから頑張ります^_^ (2018年5月27日 20時) (レス) id: 090e21dff8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴錬 - 続編がッ…楽しみすぎるッ…!! (2018年5月27日 19時) (レス) id: 28c60ad67a (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - さくらさん» ありがとうございます!!これからも頑張っていきます…!!(≧∀≦) (2018年5月26日 18時) (レス) id: 6c09e3d638 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - アヤノさん>>ありがとうございます!!今回もとても凄かったです!!続き楽しみにしてます! (2018年5月26日 18時) (レス) id: 3a8da8a787 (このIDを非表示/違反報告)
アヤノ(プロフ) - さくらさん» コメありがとうです!これからちょくちょく絡ませていきます…!! (2018年5月25日 7時) (レス) id: 6c09e3d638 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アヤノ x他1人 | 作成日時:2018年5月14日 21時

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