美容院 pky ページ6
｢ポキさん、こんにちは。今回もご指名、ありがとうございます｣
出会い口一番、こんなことを言う職種はこの世の中に二つしかないだろう。
一つは、ホステス。俺には到底無縁だろう。
そして、もう一つは。
｢本日はどんな髪型に致しますか？｣
そう。美容師だ。
それまで三ヶ月に一度と行かなかった美容院も、今では一ヶ月に一度通っている。
寧ろ、髪が伸びるのが待ち遠しい。
それくらいしか、彼女と会う理由が無いのだから。
｢えっと…。Aさんの、お任せで｣
彼女のお任せにすれば、自ずと彼女の好みの髪形になれる。それだけで嬉しかった。
｢お任せですね。わかりました｣
シャンプーが済み、いよいよカットだ。この瞬間は、大人になってもなんだか緊張する。
｢そう言えば、ポッキーくんは元気ですか？｣
彼女は、俺の愛犬のポッキーが大好きだ。何時か、会わせてあげたい。
｢あ、元気ですよ｣
生憎、天性のぼっちの俺のコミュニケーション能力は乏しく、彼女が振ってくれた話題に、ただ当たり障り無い言葉を返すことしか出来ない。
前回の来店時、彼女が苗字呼びから“ポキさん”呼びになった事に、未だに満足してしまっている自分がいる。
彼女は、会話を続けることが出来ない俺に、困った顔一つ見せず、次の話題を振ってくれる。
店員に話し掛けられるのは大の苦手だが、Aさんだけは、特別だ。
途切れたり、少しだけ続いたり。
そんな程度の日常会話を、ただただ繰り返すこの時間が、たまらなく幸せだ。
｢どうですか？｣
｢あ、ああ。素敵です｣
鏡越しに、満足そうな笑顔を見せる彼女に、ぎこちなく返事をする。
正直、切る前とあまり違いがわからないが、この上なく満足だ。
会計も、彼女が行ってくれた。
｢いつもご利用ありがとうございます。スタンプカードに、スタンプ押しておきますね｣
あと三つで、スタンプが十個になる。そうすれば、三百円引きだ。
本来はここで終わりなのだが、彼女は不意に｢切った直後に言うのも何ですが｣と顔を上げた。
｢早く髪が伸びて欲しいなんて、思ってしまいます｣
俯き加減に照れた様に笑う彼女に、俺の頭の中は、驚きと期待ではち切れそうだった。
｢ま、また来ます｣
｢はい。またのご来店をお待ちしております｣
これは、期待してもいいんですか。
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あるばか(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます！！コメント貰って、にやにや止まりません((( 神様だなんてそんな、滅相もないです！！頑張ります！これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月28日 16時) (
レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - いつもと違う感じのお話を書いていてもものすごく面白いお話を書いてくださるあるばかさん！！いつも読ませていただいいています！！！！これからも頑張ってください！！！！あるばかさん、神様です！！！！ (2017年5月28日 16時) (レス) id: d1dc2771a6 (このIDを非表示/違反報告)
あるばか(プロフ) - 奈菜氏(ナナシ)さん» ありがとうございます！頑張ります！リク喜んでー！(°ω° )/書かさせていただきます( 'ω')b (2017年2月19日 13時) (レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
奈菜氏(ナナシ) - とってもおもしろいです！更新頑張ってください！リクエストいいですか？キヨさんの嫉妬みたいです！ (2017年2月19日 12時) (レス) id: f86cca3e36 (このIDを非表示/違反報告)
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