馬鹿な uszw ページ31
彼女が浮気をしている。
そう、確信したのは、つい昨日のこと。
確信も何も、現場をこの目で見てしまった。
鼻声の友人との呑みの帰り。
駅前の居酒屋から、一人で駅へと向かっていた最中。
聞き覚えのある声が耳を掠め、はっとしてそちらへと顔を向けた。
｢愛してる｣
そう言って人目もはばからず唇を重ねたのは
友人のキヨと、Aだった。
翌日、予定通り俺の家へと訪れたAは、なんでもないような顔で、｢うっしーは、昨日は楽しかった？｣と聞いた。
肯定の言葉を返し、｢Aは誰と買い物に行っていたんだっけ｣と聞き返す。
｢高校時代の友達だよ｣
そう言って彼女は、白々しくも、美しく、笑って見せた。
｢ふぅん。
キヨとも、高校時代の友達だったんだ｣
気づけば出ていたその言葉に、彼女は一瞬、顔を歪めた。
｢どうしたの、うっしー。何が言いたいの｣
あくまでも笑顔を絶やさない彼女に、俺はさらに畳み掛ける。
こうでもしていないと、情けないくらいに、涙が出てきてしまいそうだ。
｢俺さぁ、観ちゃったんだけど、昨日｣
見る見る曇っていくその表情に、俺は今自分のしている行為の情けなさに、自己嫌悪に浸る。
｢俺とは、あんなにキスしないのになぁ？
キヨとは、するんだな｣
彼女の動きが、ぴたりと止まった。
静寂の時間。
窓の外では、車が警告を示すように、クラクションを鳴らしている。
皮肉にも、これからの俺たちを、暗示しているようだった。
｢なんだ、見てたんだ｣
乾いた様に笑った彼女は、どうやらもう、諦めているらしい。
｢不満があったなら、言ってくれれば良かっただろ｣
そう返せば、彼女は静かに首を横に振った。
｢うっしーは何も悪くない。
ただ、キヨの事も愛していたの。
私が、最低な女だっただけ｣
そう、ぽつりと言い残して、彼女は家を出て言った。
最後に、｢ごめんね｣と笑って。
キヨの元へと行ったのだろうか。
否、彼女はきっと、そんなことはしないし、出来ないだろう。
最後まで、俺とキヨのことを思って、誰の元からも消えてしまうだろう。
嗚呼、全てが馬鹿らしい。
友人の彼女を愛してしまった、キヨも。
恋人の友人を愛してしまった、Aも。
そんな馬鹿な女を愛していた、俺も。
そして、そんな馬鹿な俺が、
馬鹿な彼女を愛した俺が、
今もここにいることが。
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あるばか(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます！！コメント貰って、にやにや止まりません((( 神様だなんてそんな、滅相もないです！！頑張ります！これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月28日 16時) (
レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - いつもと違う感じのお話を書いていてもものすごく面白いお話を書いてくださるあるばかさん！！いつも読ませていただいいています！！！！これからも頑張ってください！！！！あるばかさん、神様です！！！！ (2017年5月28日 16時) (レス) id: d1dc2771a6 (このIDを非表示/違反報告)
あるばか(プロフ) - 奈菜氏(ナナシ)さん» ありがとうございます！頑張ります！リク喜んでー！(°ω° )/書かさせていただきます( 'ω')b (2017年2月19日 13時) (レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
奈菜氏(ナナシ) - とってもおもしろいです！更新頑張ってください！リクエストいいですか？キヨさんの嫉妬みたいです！ (2017年2月19日 12時) (レス) id: f86cca3e36 (このIDを非表示/違反報告)
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