最初で最後 fj ページ18
｢ねえ、今週末、出掛けよう｣
デートの誘いはいつも俺からで、彼女からは初めてだった。
思わず、｢珍しいね｣と言いかけたが、言葉を慌てて飲み込む。
変なことでも言って、この誘いをおじゃんにされてはたまったものではない。
彼女は、最近なんだか元気が無かったようだし、丁度いい。
思い切り楽しませて、元気を出させてやろう。
そんな計画を企てながら、俺は上機嫌で流行りのデートスポットを探した。
｢フジ君、お待たせ｣
今日は話題のカフェへ行こうと提案すると、彼女は静かに｢ごめん｣と言った。
｢今日はね、大切な話があるの｣
俺の体に、緊張が走った。
いい話か、悪い話か。
どちらにせよ、彼女次第だ。
彼女に連れられてやってきたのは、俺が提案した、若いカップルで賑わう店とは対照的な、奥まった路地裏にある、静かな喫茶店だ。
飲み物が運ばれてくるまで、彼女はいつも通りに話していた。
ぎこちないのは、俺だけだ。
心配しているのも、こんな気持ちなのも、きっと俺だけだ、なんて。
安心したのもつかの間、俺の儚い期待は、いとも簡単に崩された。
彼女は、自らの手前に置かれた珈琲を一口啜ると、俺の方を見た。
｢フジ君、別れよう｣
嗚呼、誰か夢だと、これは夢なんだと、そう言ってくれ。
｢な、んで…｣
生憎、ちっぽけな俺の脳みそでは、こうなってしまった原因なんてわからず、
殆ど無いに等しい記憶力ではいつからこうなってしまったのかも思い出せない。
そんな俺を哀れんだのか、彼女は寂しそうな表情をした。
｢ごめんね。仕方の無いことなの｣
そうとだけ言って席を立った。
彼女の姿が消え、少しすれば、店の扉が開く音がした。
カランカランと虚しくベルの音は鳴り響く。
彼女は店を出ていった。
俺の気持ちのやり場なんて、まだ見つかってやしないのに。
珈琲を飲み終わり、レジへ向かうと、既に会計は済ませてあった。
彼女らしい、なんて思う権利、もう今の俺には無い。
｢俺は、好きだったんたけどなあ…｣
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あるばか(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます！！コメント貰って、にやにや止まりません((( 神様だなんてそんな、滅相もないです！！頑張ります！これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月28日 16時) (
レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - いつもと違う感じのお話を書いていてもものすごく面白いお話を書いてくださるあるばかさん！！いつも読ませていただいいています！！！！これからも頑張ってください！！！！あるばかさん、神様です！！！！ (2017年5月28日 16時) (レス) id: d1dc2771a6 (このIDを非表示/違反報告)
あるばか(プロフ) - 奈菜氏(ナナシ)さん» ありがとうございます！頑張ります！リク喜んでー！(°ω° )/書かさせていただきます( 'ω')b (2017年2月19日 13時) (レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
奈菜氏(ナナシ) - とってもおもしろいです！更新頑張ってください！リクエストいいですか？キヨさんの嫉妬みたいです！ (2017年2月19日 12時) (レス) id: f86cca3e36 (このIDを非表示/違反報告)
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