メンチカツ ky ページ1
｢ねえ、キヨ。お腹空かない？｣
｢いや、別に｣
少し肌寒い十月後半の夕暮れ時。
隣を歩いていたAの腹は、ぎゅぐるるとなんとも情けなく鳴いた。
｢きっと、キヨは低燃費なんだよ｣
｢Aの燃費が悪いんじゃねぇの｣
｢私は追加オプションが多いから、すぐにお腹が空くの｣
なんてどうしようもなくどうでもいい会話を、特に盛り上がる訳でもなく、だらだらと繰り返す。
実は、こんな時間さえ、つい口元が綻びそうになるくらいに、幸せだ。
まあ、顔には出さないけどな。
片思いしている同級生と帰れるなんて、誰だって嬉しいだろ。
｢ここの近所にね、メンチカツが美味しいお肉屋さんがあるの｣
何かを期待する様に話す彼女。
考えがすぐに顔に出てしまう彼女の言葉の真意なんて、容易く予想がつく。
｢付き合えばいいんだろ｣
｢さすが、わかってるねー｣
昔流行ったお笑い芸人のネタの様に、両手でこちらを指差す彼女に、真顔で｢ゲッツ｣と同じポーズを返すと、可笑しそうに笑った。
地元の人で賑わう商店街の、アーケードから十二番目にある肉屋。
見るにAはこの店の常連らしく、店先に立つ小太りのおばさんに、｢あら、今日は彼氏連れ？｣なんて、からかわれていた。
｢もう、おばさんてば｣
そう言ってけらけら笑う彼女に、思わず俺も笑ってしまった。
メンチカツを二つ買い、家への道を歩きながら、二人並んで食べ進める。
｢熱いね、美味しい｣
はふはふと口内を手で仰ぐ彼女に、冷ましてから食べろよと笑ったものの、唇に目がいってしまい、鼓動が煩い。
ガキか、俺は。
｢そんなに見つめないでよ、恥ずかしいから｣
その言葉に、はっとして、目を逸らす。
視界の端に、頬を薄く赤色に染めるAが映り、さらに鼓動が速くなる。
｢見つめてねぇよ、馬鹿｣
そう言ったものの、なんだか我慢が効かなくなり、思わず彼女の手を取った。
驚きからなのか、反対側の手に持っているメンチカツを、落としそうになっていた。
｢馬鹿。そっちが馬鹿｣
そう言って、彼女はぎこち無く手を握り返してきた。
それがどうしようもなく愛おしく、気付いた時には、口が勝手に動いていた。
｢なあ。俺、お前のこと─────｣
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あるばか(プロフ) - 凛さん» ありがとうございます！！コメント貰って、にやにや止まりません((( 神様だなんてそんな、滅相もないです！！頑張ります！これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年5月28日 16時) (
レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - いつもと違う感じのお話を書いていてもものすごく面白いお話を書いてくださるあるばかさん！！いつも読ませていただいいています！！！！これからも頑張ってください！！！！あるばかさん、神様です！！！！ (2017年5月28日 16時) (レス) id: d1dc2771a6 (このIDを非表示/違反報告)
あるばか(プロフ) - 奈菜氏(ナナシ)さん» ありがとうございます！頑張ります！リク喜んでー！(°ω° )/書かさせていただきます( 'ω')b (2017年2月19日 13時) (レス) id: 388bcc62ae (このIDを非表示/違反報告)
奈菜氏(ナナシ) - とってもおもしろいです！更新頑張ってください！リクエストいいですか？キヨさんの嫉妬みたいです！ (2017年2月19日 12時) (レス) id: f86cca3e36 (このIDを非表示/違反報告)
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