STORY 10 ページ10
「マーロン」
どこからか女の声が聞こえた。すると森の景色は消えて真っ暗になる。まだ何も見えないが脳は覚醒していた。僕はまた夢を見たんだ。
「マーロン、起きな」
目を開けて右を向くとクラウディアが立っていた。驚いて起き上がり、反射的に窓の方を見るとまだ薄暗い。
「お母さん、どうしたの？」
「訳は後で話す。とりあえず着替えたらすぐに家を出るよ」
彼女はそう言って部屋を出て行き、呆然と扉を見つめるマーロンだけが残された。一体何があったのか気になって仕方がなかったがあまり待たせると怒られそうなので急いで着替えて下へ降りた。
「行こう」
クラウディアはマーロンの手を掴むとゆっくりと扉を開けて左右を見渡し、閉める。
「この町を出るまで喋るんじゃないよ。誰にも見つからないようにしないと。いいね？」
「わ、わかった」
そうしていつもは通らない道を抜けたり、店の近くを避けたりしながら町を出た時には空は薄っすらと明るくなっていた。
「どこへ行くの？ お父さんは？」
「森へ。スティーブにはもう『少し家をあける』と言っておいた」
森と聞いてマーロンは真っ先に見た夢を思い出したがさすがに口に出して言えるような内容ではなかった。
そこからは特に会話もないまま歩き、ようやく森が見えてきた。
「まずい」
どこか遠くを見ていたクラウディアがそう呟いたかと思うと「走るよ」とマーロンの手を掴んだまま駆け出した。
森の中へ入ってからようやく彼女は走るのをやめる。そこまで本気を出していなかったもののマーロンはすでにへとへとだった。
「……歩ける？」
「うん……」
クラウディアが心配してくるのはとても珍しいことなのだがそこまで気にする余裕はなかった。
しばらく歩いているとクラウディアが口を開く。
「ここ、あんたの夢に出てきた森だよ」
「うん、そう……え？ 何で知ってるの？」
「それはまあ、後で話す。最後のほうでは随分面白いことになってたけどね。私の手が木の枝みたいになるなんてさ。でも……あながち間違っちゃいないのかもしれないよ。ほら」
指差した方向には一匹のウサギが網にかかり、木からぶら下がっていた。彼女はそれを木から外すと再び歩き出す。そういえば彼女とまともに話すのはこれが初めてかもしれない。
進むうちに霧が晴れていき、前方に一階建ての小さい家が見えた。彼女は扉を開けると、マーロンに中に入るように促す。
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
