STORY 29 ページ29
窓に背を向けようとした時、視界の端にあるものが映る。それは離れた所で扉を叩こうか迷っているかのように右往左往しており、手に何かを持っているのが分かる。しかもよく見れば子供で、マシューはその子に見覚えがあった。
「……マーロン！」
「わぁ！？」
正体が分かりホッとすると同時にマシューはついイタズラ心が湧いてしまい、音を立てぬように窓を開けてから少し声を張り上げて呼びかけてみるとマーロンは飛び上がって尻餅をついた。……我ながら大人気ないことを。
「す、すまん、つい……」
普通ならすぐに用件を訊くものだが、腹を抱えて笑い転げているマシューには無理だろう。
「はぁ……えっと、それで？ こんな夜遅くに一体どうした」
五分後、ようやく落ち着いたマシューが問う。夜に会いに来るなんてなんだか懐かしい感じがした。
「あ、これ届けに来たんです。落ちてたので、たぶんマシューのかなって」
マーロンが差し出した物を見てギョッとする。それは取り調べで魔女の印を見つけるために使っている針だった。
マシューは「ありがとう」と受け取り、しばらく針から目が離せないでいた。よもや、針の『仕掛け』に気づいたのではないか。
「あの……夜分遅くにすみませんでした。では……」
「待て」
去ろうとした少年を呼び止めて右手側の玄関のほうを親指で指す。
「開いてるから入れ。大抵、行きは無事でも帰りは危ない。スティーブには適当に理由つけとく」
「え？ でも、申し訳ないです」
なんだかませてんな。前の町に居た時は七歳で、長い間会えてなかったから急に成長したようにも見える。勘が良くなりすぎないように祈るばかりだ。
「いいんだよ。むしろ来てほしい」
マシューにそう言われ、マーロンは戸惑いながらも一礼して小走りで玄関の扉を開けた。数秒後に寝室の扉が開く。
「お邪魔します」
「そこの椅子、使っていいよ」
「あ、はい」
マーロンと向き合うような形でベッドに腰掛けた時、ふとマシューは「あれ？」と首を傾げる。
「俺の家、マニングツリーにあるなんて言ったっけ。あの町から結構かかると思うけどどうやって来たんだ？」
「あ、その……前に……尾行してました」
「びこう」
「ど、どこに住んでるのか気になって……ごめんなさい」
しおらしい様子のマーロンに何故だか不覚にも笑ってしまった。
「いいよ別に。そうだ、この針」
試しに腕に軽く先を押し当てると慌てて止められた。
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
