STORY 35 ページ35
マーロンはその間もずっと無表情だった。これならまだヒステリックに喚いた時のほうがマシだと思った。
「あまり外に出てなくても分かる。女の人が次々と処刑されたのが。連行された人は帰ってくることがないってことも。『女だから』殺されたみたいじゃないか。まだ直接会ってないけど、ロザリアは優しい子だってわかってる。そんな子も殺すんだ。『女』ってだけで」
「だからそれは“魔女の印”が――」
「嘘つき。あれ、針が容器に引っ込む仕掛けがあったよ。そうすれば痛みも感じず血も出ない“印”が簡単に作れる」
「お前……！」
やはり知ってたのか。気づいていたのだ。何も知らないふりして、謀って……。
「二年後に……そのことをばらす」
「……はあ？ なんで二年後なんだ」
「それまで僕が何をしても無駄だから。今はマシューが次々と女の人を殺していくのを見ているだけしか出来ない。本当はもう、死んでほしいんだけど」
「ガキが」
「どう？ 僕のこと、殺したくなった？ 憎いと思った？ ねえ、ねえ、ねえってば」
「うるせぇんだよ！」
マシューが手を伸ばしたのをかわしてマーロンはベッドから降りた。
「気持ちわりぃんだよお前。ついでに言ってやるよ。お前は確かに俺の息子だ。真実が知れて嬉しいか。俺はお前に親として愛情なんて抱いたことはねぇよ！」
「……他には？」
「ああ！？ 全部気に食わねぇに決まってんだろうが！ お前見てるだけで虫酸が走るんだよクソガキが！ お前が俺の息子なんて思いたくもねぇ」
「うん。僕も、あんたが父親なんて思いたくない。あんたは僕の父親じゃない。僕の父さんはスティーブだけだ」
「……っ……！ もういい、消えろっ！」
「ありがとう」
「は……？」
マーロンはおもむろにマシューの首にかかっている十字架を掴んで引っ張る。
「なんだよ」
「あ、ごめん。綺麗だったから、形見として貰っておきたいなと」
「勝手に殺すんじゃねぇ。……ほら」
彼は首から引きちぎった十字架をマーロンに差し出す。それを首にかけて去ろうとしたマーロンを呼び止めた。
「さっきの、何が『ありがとう』なんだ？ 訳が分からねぇ」
「僕を拒絶してくれてありがとうって意味。それじゃあ」
絶句したマシューをよそに今度こそ部屋を出ようとしたマーロンは去り際に一度だけ振り返る。
「もう二度と僕のことを『愛してる』なんて言わないでね。あなたを愛すのもあなたに愛されるのも罪になるから」
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
