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STORY 16 ページ16

しん、と静まりかえったかと思うと誰かが声を発する。

「倒した……魔女を」

 その言葉が合図だったかのようにドッと沸き起こる群衆。
 部屋の中に入らないようにジョンとメアリーに押し留められていた彼らには見えていなかった。クラウディアの剣が振り下ろされる直前、マシューがマーロンを自分の前に引き寄せて盾にしたことを。
 放心状態で首のない死体を見つめるマーロンに真っ先に駆け寄ったのは言うまでもなくスティーブだった。手足を縛るロープを切り、猿轡を外すと息子を抱きしめる。

「お父さん……お母さん、死んじゃった」

「違う、違うんだよマーロン……これでよかったんだ。これで……許してくれ……こうするしかなかったんだ……」

 スティーブはマーロンを強く抱きしめて泣きながら謝っていた。それが息子に対してなのか、それとも魔女に仕立て上げられて殺された妻に対してなのかは分からない。
 クラウディアの身体が部屋の外に運ばれると待機していた町の人々は口汚く罵りながら『それ』を傷つけ始めた。

「髪だけは良いな」

 マシューは転がっていた首を拾い上げるとマーロンの前で掲げて見せる。覚えていたのはそこまでだった。何故なら光を無くした母の虚ろな目を見た途端、マーロンは意識を失ってしまったからである。





「あの女の首よりお前の首のほうが欲しい」

 マーロンは飛び起きた。眠っていたとはいえ、意識のどこかは覚醒している状態で突然物騒な言葉が聞こえてきたのだから無理もない。

「あ、起きた」

 右を向くと鍔の広い帽子を被った鋭い目つきの若い男が椅子に座っており、マーロンが普段読んでいた本を開いていた。

「今の聞こえたなら冗談だから気にするな。お前、あの後気絶したんだよ」

「あの……」

「お前に会いたくて、スティーブの奴に『心配だから様子を見たい』と言ったら容易く許可がおりたよ。おまけに『被害者を気にかける良い人』だと思わせることも出来たし一石二鳥」

 彼はそこで思い出したように本を閉じてマーロンに差し出す。

「法律の本なんて読んでるのか、すごいな。頭痛くならねぇか?」

 マーロンは本を受け取ると、落ち着きもなく手の中で弄ぶ。この様子だと口に出すべきではないのかもしれない。だけど……。

「マーロン、どうした?」

 男は不思議そうな表情で訊いてくる。間違いなく彼はマーロンを知っている。

「ごめんなさい……誰ですか?」

――だが、マーロンは彼を知らなかった。

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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます!はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです!マシュー、……あ、愛してる…って言いました……? (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます!好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田無苑珠 | 作成日時:2017年5月5日 13時

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